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 一方のブルーライトについてはご存知の人も多いと思うが、スマホが発する光の中でも最も強いエネルギーを持つ可視光線のこと。目がブルーライトを浴び続けると眼精疲労が起きやすくなり、毛様体筋の柔軟性が失われて行く。

 とはいえ、ブルーライトを発するのは何もスマホに限ったことではない。テレビやパソコン、蛍光灯からもブルーライトは出ているし、もっと言えば太陽光にだって含まれている。

「発光源から目までの距離が近いことが問題なのです。ブルーライトのエネルギーは、距離の二乗に反比例して力が増減する。その距離が20センチと40センチでは、エネルギー量は倍ではなく4倍まで増幅するのです」と平松医師。言い換えれば、一定の距離さえ保つことができれば、必要以上にブルーライトを恐がらなくてもいいのだが……。

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ベッドに入る30分前には、スマホとサヨナラを ©iStock.com

すでに症状が出ている人は「温める」

 以上の3点に注意すれば、スマホ老眼を予防することは可能だが、すでに症状が出ている人はどうすればいいのか。対処法を平松医師に聞いた。

「基本は“温める”と覚えて下さい」

 といっても、スマホを温めても効果はない。温めるのは「目」のほうだ。

 疲れ目などの時に目を冷やすと清涼感が得られるが、平松医師によると、硬直した毛様体筋は冷やしても柔らかくはならないとのこと。逆に温めることで柔軟性が戻り、老眼の症状も和らぐという。

「濡らして絞ったタオルを電子レンジで40秒ほど温めて、閉じた目の上に乗せるだけで毛様体筋の緊張は大幅に和らぎます。1回当たり5分の保温が目安」

 また、日中でもスマホの輝度を今より3割下げるだけで、目の受けるダメージはかなり小さくなるというので試してほしい。

 最近は市販のブルーライトカットメガネを使っている人もいるが、人間の生活にとってブルーライトは決して悪者ではないので、排除することに神経質になる必要はない。

「本来自然界では、夜はブルーライトを浴びることはないので、夜だけブルーライトカットメガネを使うことで、体に備わっているサーカディアンリズムが働いて安眠につながります。とはいえ、寝る前にスマホを使ったのでは意味がない。少なくともベッドに入る30分前には、スマホとサヨナラして下さい」

 もしいま、この記事を就寝前のベッドで読んでいるなら、とりあえず今夜はこれでスマホを消して、明日からは寝室にスマホを持ち込まないように心がけてみて下さい。