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「言うこと聞かないと殺すよ」

 Aさんは調書にこう語っている。

「帰宅が遅れて激高されてから、ゆき乃さんと私の間に主従関係ができた。優力さんからも『言葉遣いに気をつけろ』と言われ、敬語で話すようになった。その後、風俗で働くようになったが、3ヶ月後に売春するように指示され『もっと稼ぐために本番やって、金もらえ』と言われた。

 絶対にしたくなかった。稼いでも全額徴収される。だが優力さんからも『どうやって払うんだよ』と追い立てられた。ゆき乃さんの父親が元ヤクザであると匂わされて『言うこと聞かないと殺すよ』と言われて不安になった。また優力さんは私の子供に食事を与えないこともあり、結局売春することにした……」

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 こうして2020年11月ごろ、ゆき乃被告から「立ちんぼやればいいだろ。立ってれば通行人が声かけてくるから」などと言われ「やりたくなかった」(Aさんの調書より)が、街中で客を取るようになる。

両被告への支払いは、次第に増えていき…

 外に出て不本意な売春行為をさせられているAさんに対し、両被告はたびたび、威圧的な言葉をかけていた。帰宅予定時間を過ぎれば「時間過ぎてるけど。おーい反応しろ」とゆき乃被告がLINEを送ってくる。優力被告は「携帯を確認して、もしチョンボが分かったらどうするんだろうな」と“金を得るための売春”をこなすよう、圧をかけてくる。

 さらに、ゆき乃被告は「家から出て行ったら分かってるんだろうな、飛んだら児相に連絡して、子供に虐待してると言うぞ」とAさんを脅した。もし逃げるようなことがあれば“Aさんが子供に虐待をしている”と児相に嘘の申告をする……との脅迫だ。

 両被告が求めるように稼げず、支払いが滞ると、今度は優力被告が「自分でちゃんと生活立てろ」と怒り出したともいう。当初、生活費とベビーシッター代名目だった両被告への支払いは、次第に増えていった。ときには優力被告がAさんの目の前で、Aさんの子に暴力を振るうこともあったという。