同居していたシングルマザーに売春をさせ、その売上金を巻き上げていたとして売春防止法違反(管理売春)で起訴された夫婦に対する初公判が5月10日、東京地裁(蛭田円香裁判官)で開かれた。
夫婦は起訴事実を認め、検察官は2人に懲役2年6月と罰金30万円を求刑した。公判では夫婦がシングルマザーに対して生活費やクリーニング代等、あらゆる名目で金を要求し、売春を繰り返させ、金を搾り取っていた実態が明らかになった。(全2回の1回目。後編を読む)
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夫婦でシングルマザーに売春をさせる
起訴状によれば、嵩原(たけはら)ゆき乃(33)と夫の優力(ゆうき・29)被告は、シングルマザーのAさん(当時26)を板橋区の自宅マンションに住まわせ、2021年5月から11月までの間に、都内のホテルなどで不特定多数に対して売春をさせたという売春防止法違反(管理売春)の罪に問われている。
「間違いないです」
揃って起訴事実を認めた夫婦はともに保釈されており、ゆき乃被告は紺色のカーディガンに白いブラウス、タイトスカートを穿き、ロングの黒髪を後ろでひとつに束ねていた。優力被告は短髪にスーツ。日に焼けた肌に白いマスクが目立つ。
稼いだ金を全て搾り取られる地獄の日々
冒頭陳述や争いのない証拠によれば、Aさんは2018年にゆき乃被告と動画配信アプリを介して知り合った。この年、Aさんは当時結婚していた夫との間に長男を出産したが、婚姻関係が悪化。住むところを失いそうなところ、ゆき乃被告からの誘いを受け、同年11月ごろ、板橋のマンションに長男とともにやってきたのだという。ゆき乃・優力被告の間にも小学生の子供がおり、マンションでの5人暮らしが始まった。
居候開始当初、Aさんの元夫が生活費として嵩原家に月3万円を渡していたが、離婚後はAさんがキャバクラで働き、生活費とベビーシッター代の名目で、月10万円を夫婦に渡していた。しかし、ある日、キャバクラからの帰宅が遅れたAさんに対して、ゆき乃被告が激高。以降、両被告のAさんへの態度が一変したという。そしてここから、稼いだ金を全て搾り取られる地獄の日々が本格化した。