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「核兵器は必要悪か、絶対悪か」ノーベル平和賞スピーチが投げかけたもの

──今週の名言・珍言・問題発言

2017/12/16
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小野寺五典 防衛相
「最速のスケジュールで導入できるよう、協力をお願いしたい」

毎日新聞 12月13日

 生活保護の引き下げ、年900億円と見られる所得増税、既定路線となった「消費税10%」と、国のお金のやりくりが大変な状況になっていることは明らかだが、その一方で景気良く使われるのが軍事費だ。日本の弾道ミサイル防衛(BMD)システムは、約15年間で累計の整備費が2兆円を超える見通しとなった。

 冒頭の言葉は、小野寺防衛相が今月1日、マティス米国防長官に電話で陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の早期配備に協力を求めたときのもの。ところが、日本のBMDが実戦でどこまで対応できるかは未知数とされている。空自の元航空支援集団司令官の永岩俊道氏は「BMDシステムは万能ではなく、いくら予算を使ってもキリがない」と指摘している。

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小野寺五典防衛相 ©時事通信社

 日本経済新聞の高坂哲郎編集委員は、MD(ミサイル防衛)の導入理由が「行き当たりばったり」であり、「『こちらが迎撃できるミサイルを北朝鮮が発射してくれるはずだ』との実に甘い想定で陸上型イージスに巨額の税金を投じようとしている」と辛辣に批判している(日本経済新聞電子版 9月14日)。日本の防衛政策立案者は「ギャンブル依存症」のようだと言う高坂氏。たしかに、お金をどんどんつぎ込まないと不安になるんだろうな……。

萩生田光一 自民党 幹事長代行
「与えた恩を石に刻ませるくらいの迫力で外交をやらないと国際社会で日本への支持は得られない」

時事ドットコムニュース 12月10日

 自民党の萩生田光一幹事長代行は、10日に大阪市で開かれた党大阪府連大会であいさつし、政府開発援助(ODA)について上記のように述べ、「『俺が払った』と言い続けないと、他の人は理解してくれない」と続けた。

萩生田光一自民党幹事長代行 ©文藝春秋

 また、歴史問題については「戦後72年たっても、72年ちょっと前の歴史をつまみ出されて日本が批判され、国際社会の中で時には袋だたきに遭う。おかしなことだと思わないか」と語っている。具体的な事例には触れていないが、慰安婦問題などをめぐる対日批判に不満を示した格好だ。

 ODAなどについての事実は事実として先方に認めてもらうことが重要だが、「与えた恩を石に刻ませる」とは何とも格好悪い。「かけた情けは水に流し、受けた恩は石に刻め(懸情流水 受恩刻石)」という仏教の教えはどこかへ行ってしまったようだ。また、歴史問題についての「袋だたきに遭う」という発言については、歴史学者の住友陽文氏が「言うまでもなく萩生田氏のような人物が政権にいて時計の針を昔に戻すからだ」と指摘している(ツイッターより 12月10日)。日本が世界から尊敬される国になれば、「与えた恩を石に刻ませる」とすごまなくても相手には伝わるんじゃないでしょうかね。

「核兵器は必要悪か、絶対悪か」ノーベル平和賞スピーチが投げかけたもの

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