今はSNSのエゴサで読者反応を知る
――かつては「読者は手書きのファンレターを送り、先生はコミックス欄外(連載時は縦1/4ページの広告スペース)の《たわごと》からメッセージを送る」という、双方向のコミュニケーションが成立していました。
ところが今は、読者が感想をSNSで発信する時代です。先生の実感として、紙のファンレターはいつ頃から減ってきたのでしょうか。
日渡 お手紙が減ってきたのは、やはりネットの隆盛と共にです。
編集部を出て、お手紙を抱きしめながら電車で涙ふきふき帰宅した素敵な時代もありましたが、今ではSNSでエゴサして、皆さまの呟きを、それこそ聴き耳頭巾被った状態で覗かせていただいております。
――SNSをご覧になるんですね。
日渡 楽しいですよ。今も昔も、届く想いは同じなので。中にはスパッと切れるような言葉もあれば、一瞬で癒してくださるような言葉もあります。
作家さんによってはSNSでお応えされている方々もいられるようですが、私はそれは避けております。返答のキリがなくなりそうですし、好きに呟いていてほしいのもあり、触らずに観ていたいです。読者さまは空に輝く星々なので。
マンガ雑誌から広告欄が消えた
――近年、マンガ雑誌から1/4広告スペースがなくなっていることは、紙至上主義時代の終わりを感じさせます。先生の《たわごと》も『ぼく歌』5巻(2019年発売)を最後になくなりました。
日渡先生は紙媒体でデビューし、40年間、一貫して紙で連載を続けてきました。作品発表の場が「紙」であることは、先生にとってどんな意味がありますか。
日渡 コレはねぇ……。いや、《たわごと》が書けないことよりも、広告スペースがなくなったときに時代を感じましたね……。雑誌の在り様が変わっていくのだなぁと。日ペンの美子ちゃん(ボールペン習字通信講座の広告マンガ)が懐かしい。
《たわごと》がなくなった分、今はブログを開設しておりますので、『日渡ぷらす日記』でご検索いただけましたら幸いです。早紀の《早》の字は《十(ぷらす)》と《日》に分解できるので、もじって『ぷらす日記』としました。