女子高生・亜梨子(ありす)は、前世では「木蓮」という女性で、6人の仲間と月基地にいた。亜梨子は前世の記憶を共有する仲間と集い、仲間の一人・輪は月基地でのキィ・ワード収集を始めるが、それが地球と月の運命を狂わせるきっかけに──。 日渡早紀の『ぼくの地球を守って』は、1986~1994年に雑誌『花とゆめ』で連載され、“前世・輪廻転生”の大ブームを起こした傑作SFマンガだ。
実は連載当時、熱狂した読者たちは現実でも前世の仲間探しを始め、作者自らが「この作品はフィクション」と異例の宣言を出す事態となった。《戦士症候群》と呼ばれるこの社会現象を、作者は当時どんな思いで眺めていたのか。
今年画業40周年を迎えたSF少女マンガのパイオニアに、大きな影響力を誇った『ぼく地球』の制作秘話を語ってもらった。(全3回の1回目/2回目を読む)
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担当から「君が思うよりもすごいことに……!」と
――『ぼくの地球を守って』(略称:ぼく地球〈たま〉)の連載開始は、1986年12月。主人公の亜梨子(ありす)と仲間たちが前世と現世を交錯し始めたあたりから、毎号大反響だった記憶があります。日渡先生が反響の大きさを感じたのは、いつ頃でしたか。
日渡 連載が始まって半年くらいの頃、《亜梨子と友人の迅八、一成が、雑誌に「前世の記憶を持つ仲間を募集」と投稿したら、大介から手紙が届く》というエピソードを描いたんです。
――これはその回の最後の見開きページですね。
日渡 はい。これが本誌に載ったあと、当時の担当氏からいきなり電話がかかってきて。私は最初「うわ~、また口絵とかの依頼かなぁ。忙しくなるのやだなぁ」などと思ったんですが……。
――そんな話ではなかった。
日渡 担当氏からは「次回の冒頭、ハズしてほしくない。他に展開を振らず、前世のメンバーたちをすぐに会わせてほしい」と言われたんです。
私はなぜそんなことを言うのかわからず、理由を聞いたら、「実は君が思っているよりも、『ぼく地球』の反響がすごいことになっている」と。