仲良くなって少し経った時に、ご飯に連れて行ってもらったんですけど、その時にみはるさんが「先輩だから出すよ!」ってご馳走してくれたんです。普通だったら、「ありがとうございます!」と思うんでしょうけど、僕はその時になぜか恥ずかしいって思ったんですよね。
今考えればそれはみはるさんを意識していたからだと思います。そんな感じでだんだんと僕もみはるさんに惹かれていきました。
お互いに年齢の壁はなかった
――23歳の年の差については気にならなかったのでしょうか。
シャチホコ それがお互いの実年齢を知ったのは、付き合った後だったんです。当時僕は23歳で、みはるさんが46歳くらいだったんですけど、みはるさんは僕のことを30代半ばくらいだと思っていて、僕もみはるさんのことを40ちょいくらいだと思っていました。お互いにそんなに年が離れていないだろうと思い込んでいたんですよね。僕も昭和歌謡曲が好きだったので、みはるさんと音楽の話も合うし。
10歳くらいの歳の差だったら、結構周りにもいるし、そこまで気にすることじゃないよなって。だからお互いに年齢の壁はなかったです。
――年齢を聞くことはなかったんですね。
シャチホコ 大先輩の女性に年齢を聞くのは失礼だと思って聞けなかったです。みはるさんも聞いてくることはなくて。
もし出会った時に年齢を知っていたら…
――それからどのようにお付き合いに発展したのでしょうか。
シャチホコ 付き合うにあたって僕たちは告白とかは一切なかったんです。なんとなくお互い好きだよねって言うのはわかっていましたが、改めて言うのが恥ずかしくて。
そのうちにみはるさんから「家探してるんでしょ? それならうちに住めばいいじゃん」って言われて、同棲を始めました。僕はものまねだけじゃ食べていけなくて、携帯電話が止まるくらい貧乏だったんです。そんな中、みはるさんは快く僕を住まわせてくれたり、弁当を作ってくれたりと献身的なサポートをしてくれていました。
――お互いの年齢がわかったのはいつだったのでしょうか。
シャチホコ 同棲してから少し経った時に、書類に生年月日を書く機会があったんです。「あれ、お互いにいくつだっけ?」という話になり、みはるさんが46歳、僕が23歳ってことが判明して。
「えーっ!」とめっちゃびっくりしたんですが、年齢が離れているからって別れようとは思わなかったです。年齢差を超えられるくらいの愛や絆がすでに揃っていたので。
現実的にはたしかに年齢差って大変な部分があると思うんですが、僕たちは年齢を先に知らなかったので、それがよかったのかもしれないです。もし出会った時に年齢を知っていたらお互いに躊躇していたと思うので。
写真=山元茂樹/文藝春秋
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