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神社本庁の対応は“パワハラ”といえるか
稲氏の代理人が続ける。
「判決の翌22日、神社本庁代理人から〈当面のあいだ、出勤を免除いたします〉とFAXがありました。ただ復職自体は認められたわけですから、私から代理人に〈稲氏本人に登庁するよう伝えております〉とFAXした上で、稲氏は登庁した。にもかかわらず、挨拶や参拝すら拒むのは、最高裁の判断を蔑ろにしているようなものです」
神社本庁側はどう答えるのか。代理人弁護士が主に以下のように回答した。
「〈当面のあいだ、出勤を免除〉とFAXしたにもかかわらず、出勤してきました。そのため、出勤に及ばず、と施設管理権を代理人として行使したものです」
両者の主張について、労働裁判に詳しい佐々木亮弁護士が指摘する。
「原告に対し、挨拶どころか、建物の敷地内にすら入れないという対応は行き過ぎです。自宅待機が長期化すれば、厚労省が定義した『人間関係からの切り離し』というパワハラ行為に抵触する恐れが出て来る。最高裁の判断を軽んじているとみられても仕方がありません」
最高裁をも恐れぬ神社本庁。その所業は復帰を願う稲氏にとって、仏はもちろん、神もないものだった。