事務所側が安田に突きつけた“芸能界の掟”
《これは掟》
答弁書で安田側は、当時の状況を《引退や掟という言葉を繰り返し多用した上、被告会社からの独立や他の芸能事務所への移籍は断じて許さない旨を執拗に伝えるとともに、本件専属契約を更新しないのであれば芸能界を引退するよう示唆した》と主張している。
その後、安田と事務所側との対立は、泥沼の訴訟合戦へと発展していく。
双方の対立が決定的となった協議から約1カ月後の2019年6月、安田側が「円満解決のため」として提案した協議を事務所側が拒否。そして、それから約3カ月後の同9月には、「経費の名目で支給していた金員の一部が給与に該当する」として、事務所側が、「不当利得返還請求訴訟」を提起するに至ったのだという。
訴訟は2020年3月に原告となった事務所側の「請求放棄」という形で終結したが、事はそれで終わらず、冒頭のパワハラ裁判へとつながっていくのである。
極度のストレスによる「切迫出産」を示唆
一連の“裁判闘争”の渦中にあった2020年3月には、一部週刊誌で安田の夫に「2度目の不倫」が報じられた。パワハラ裁判では、このスキャンダルが報じられる直前、事務所側が安田や夫に対して醜聞の内容を伝える文書を送っていたことも明らかにされた。
安田は、この一件の直後に第二子を「切迫出産」したとも明かしており、トラブルによるストレスの影響を示唆した。相次ぐ訴訟やスキャンダル報道を《嫌がらせ》と受け止めていたとし、《芸能活動を事実上妨害し続けた》と答弁書の中で“被害”を訴えている。
「安田は証拠として、事務所から自身や夫に送られた文書を提出しています。そこには、週刊誌で報じられた夫と不倫相手とのLINEの生々しいやり取りが記されていたといいます。文書には、事務所側に何らかの対応をしなければ記事が世に出るという趣旨の文言が記されていたようです。
第二子を妊娠中だった安田はこの一件があった直後に都内の病院に救急搬送され、『切迫出産』を余儀なくされたと主張。病院にかかった際の診断書も証拠として提出し、極度のストレスによる心身への影響を示唆しています」(同前)
安田側はこの件についても、事務所側の攻撃の一環であると受け取ったとみられる。