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 この種のトラブルは芸能界ではそれほど珍しいものではないが、この裁判が特殊なのは、審理の過程で安田と事務所との因縁が詳らかにされた点にある。

安田は「マネジャーと事務所が結託している」と主張

「安田側は、この裁判はマネジャーと事務所側が結託して自分へ嫌がらせをして起こしたものだと主張したのです。その主張を補強するために、これまで事務所から受けた“仕打ち”を法廷で明らかにした。最初は、所属事務所&安田美沙子vs.マネジャーで始まった裁判ですが、その対立構図が所属事務所vs.安田美沙子にすり替わってしまった格好です」(同前)

 安田はなぜそのような主張をするに至ったのか。それは、安田の独立騒動が発端だった。

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同じ事務所に所属していた安田美沙子と熊田曜子の成人式

「安田は、2020年3月に、自身のInstagramでデビュー時から所属していたアーティストハウスピラミッドからの退所と独立を発表しました。しかし、話し合いで折り合いがつかず、事務所側は、独立を認めなかったために亀裂は決定的になったのです」(同前)

 パワハラ訴訟の裁判資料には、その対立の経過が克明に記録されていた。

 安田側が示した答弁書によると、冒頭のやり取りが安田と事務所代表との間で交わされたとされるのは、安田の「独立宣言」の約1年前の《令和元(2019)年5月10日》のことだった。

安田美沙子(本人のInstagramより)

事務所を辞めるか、芸能界引退か

 安田はこの席で代表にこう伝えたという。

《自らの置かれた環境をリセットした上で家族との生活や今後の仕事の向き合い方等についてゆっくり考えたい》

 冒頭のセリフはこの時、代表が安田に言い放ったものだとされる。代表は、さらにたたみかけるように安田を追い込んでいく。

 以下は答弁書に記された、安田に投げかけられたとされる代表の言葉だ。

《だから決意するんだったらね。いやとても辛い言い方するんだけども、本当に引退するんだったら大歓迎だよね。だけど引退した、でも何年かしたらやっぱりこっちで、ここで仕事をするって言われた場合は、やっぱりちょっと色々難しい問題出てくるんじゃないかな? 俺は黙っていない。うん。俺はそんな男じゃないからね…》

 事務所に残るか、芸能界引退か。

 代表は退所を“直訴”する安田に暗に選択を迫ったという。さらに、こう追い打ちを掛けた。