年末年始、こたつでゆっくりしながら観るのにぴったりな映画・ドラマ3本を、映画評論家の真魚八重子さんに選んでいただきました!
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未見の方は冬の休日にぜひ。――ドラマ『SHERLOCK』
人によっては今更? となるでしょうが、もし未見の方がいれば冬の休日にぜひ。このドラマはミステリーとしてはもちろん、キャラクター同士の関係性が密で、特にシーズン2第1話のクリスマスシーンはエモーショナルで心を鷲掴みにされます。ドラマは映画よりも鮮度や話題性に左右されがちですし、全部を見ると尺が長いせいもあって、ブームに乗り遅れたらもうそれきりということも多いのでは。でもちょっと時期がずれても、高い評価の作品なら鑑賞した方が自分の娯楽として吉です。
しめなわを飾る、デコラティブでいなせなトラックが素晴らしい!――『トラック野郎 爆走一番星』
盆と正月に楽しむ映画といえば「トラック野郎」シリーズ。1975年から全10本が作られました。設定が年末年始なのは、2作目となる本作を含むシリーズの偶数作(奇数が盆興行)。特に連続性はないのでどれから観ても構わないのですが、中期までがやはり脂が乗っています。「トラック野郎」はどれも下品なジョークに加えてゲスト俳優の豪華さ、トラックのチェイス、泣かせる人情噺と娯楽が盛りだくさん。正月を迎えてフロントにしめなわを飾る、デコラティブでいなせなトラックが素晴らしい!
80年代のお茶の間を追体験をしてみましょう――ドラマ『江戸川乱歩の美女シリーズ 天国と地獄の美女』
その昔、土曜ワイド劇場で人気を誇ったドラマです。明智小五郎役の天知茂の逝去までに、25作が制作されました。土ワイの視聴率を稼ぐ柱であっただけに、正月仕様の豪華版となった本作。これが有名なのは、鏡餅などの正月飾りの前で天知茂が「あけましておめでとうございます。明智小五郎です」と登場する違和感です。若い方は知らないと思いますけど、天知茂はニヒルの代名詞。それにもともと原作が『パノラマ島奇談』で、エログロに寄りがちな江戸川乱歩がお年始というのも異様です。「80年代の正月のお茶の間はこうだったんだなあ」という追体験をしてみましょう。