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「あの中に佐々木朗希くんがいたと思うとなんか縁を感じます」

 現在は独立リーグで投手コーチを務めながら現役投手としても投げ続けている。マリーンズ時代、一世を風靡した招き猫投法は健在だ。

「ストレートは昨年が140キロで今は138キロぐらい。身体の使い方が良くなっているので、今すごくいい感じで投げることが出来ています」と成瀬は言う。

 古巣マリーンズの事も気になる。もちろん、マリーンズ時代に背番号17を付けていた身として現在の17番、佐々木朗希投手の存在に注目をしている。

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「すごく楽しみ。出力が凄い、力で抑える投球に技が身につけば、どうなるのかなと思う。これから疲れも出てくると思うけど、このまま順調に行って欲しいと思っている」と後輩の姿に目を細める。

 ちなみに成瀬と佐々木朗希は一度だけZOZOマリンスタジアムのグラウンドで時間を共有している。2013年。佐々木が小学校6年生の時にマリンのマウンドで投げたことがあるというのは有名なエピソードだ。東日本大震災で「グラウンドを失った子どもたちに夢を」というコンセプトにスタートした「リアスリーグ」に賛同したロッテがバックアップする形で2013年に始まった少年野球大会の第1回はZOZOマリンスタジアム(当時QVCマリンフィールド)で行われ、千葉の少年野球チームとの親善試合でマウンドに上がっていた。試合後にサプライズゲストとして登場したのが当時、千葉ロッテマリーンズのエースだった成瀬。マウンド付近で記念撮影を行っている。

「あの日の事は覚えています。あの中に佐々木朗希くんがいたと思うとなんか縁を感じます」と当時を懐かしそうに振り返った。

 今、佐々木朗希は日本プロ野球の中心にいる。誰もが注目をする存在だ。そして07年に成瀬が惜しくも受賞を逃した沢村賞に極めて近いポテンシャルをもった存在と言える。いまだマリーンズが手にしたことがない栄誉ある賞。栃木で若い選手にアドバイスを送り、汗を流しながら野球と向き合っている伝説の左腕はいつかマリーンズの後輩が沢村賞を受賞したという吉報を聞ける日がくることを楽しみにしている。

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