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やっぱり「政治部」なのだろう

 この記事のなかの読みどころは、

「政府構想1年半前から」という「解説」である。

《羽生、井山両氏への国民栄誉賞の同時授与は、棋界の盛り上がりを願う政府が、1年半以上前から温めてきた構想だった。

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 政府内では、2016年4月、井山氏が史上初めて七大タイトルを独占した際に、井山氏への授与が検討された。羽生氏が当時、これも史上初となる通算タイトル100期獲得を控えていたため、同時授与の構想が浮上した。》

読売新聞12月13日の夕刊では「決定へ」の3文字が

 なんでここまで細かく知ってるの?

《今月5日、羽生氏が99期で史上初の「永世七冠」を達成し、「想定より早く機が熟した」(政府関係者)という。》

 ああ、やっぱり「政府関係者」から聞いてるのだ。ずるい、ずるい(←他紙の声を妄想してみました)。今回の「国民栄誉賞」記事は囲碁将棋だけに文化部マターかと思いきや、記事を読むとやっぱり「政治部」なのだろう。

国民栄誉賞辞退といえば、この人この名言

 さて、国民栄誉賞ネタと言えばスポーツ紙では「あの人」の話題もやはりあった。

「過去の辞退者3人」(スポーツ報知12月14日)

 まず国民栄誉賞の素朴な疑問がまとめられている。抜粋する。

Q どうやって決まるの?

A 基本的に首相の発案です。その後内閣府で検討の上、正式発表という流れ。

Q 過去には「政権の話題づくり」との指摘もありましたね。

A 世論の動向などを見て政府が最終的に判断するため、不透明さが残るのは否めません。「選挙を控えた人気取りだ」との批判もありました。

 で、最後に。

Q 辞退者はいるの?

A プロ野球・福本豊氏、イチローと、作曲家の古関裕而氏(遺族が辞退)の3人。福本氏の「そんなんもろたら立ちションでけへん」は球史に残る名文句です。

福本豊 ©佐貫直哉/文藝春秋

 出ました、国民栄誉賞エピソードと言えば福本豊氏の立ちション名言。もはやお約束である。

 それにしても上記のQ&Aで「基本的に首相の発案です。その後内閣府で検討の上、正式発表という流れ。」という説明があるが、そうであれば確かに政権に近いと情報も入ってくるのだろう。

 やはり今年の隠れ流行語は安倍首相の「読売新聞を熟読して頂いて」ではないだろうか。