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球場にもSNSにも飛び交う野次。私たちは選手たちにどんな言葉を届ければよいのだろう

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/06/17
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小汚い言葉がそのまま文字として伝わるその前に

 ラグビーワールドカップを観てフェア精神にとても感銘を受け、野球界ももっとそうなれば良いと思った僕は、そういった野次を徹底的に根絶させ、運営側は速やかな対応を取れるようマニュアルをもっと強く整備するべきだと思う。

 例えばそういった言動をとったものはすぐに取り押さえ、球場外に退出してもらう。すぐアナウンスを流し悪質な野次行為は進行の妨げとみなし、厳罰対象とする。そんな事を球場に響かせるべきだ。そして「カープ頑張れ!」そう添えてくれたら完璧だ。しかし、ウィットに富んだ甲子園の野次はどうするべきか迷う。

 まあ、いわゆるいいプレイには全力で声を上げて(コロナ禍を考慮しないで読んでください)、これはダメだと思うプレイには全力でブーイングをしてもいいと思う。野次は必要以上の締め付けというか攻撃なので、普段から仲間や家族にそんな物言いをしていない人でもヒートアップしてしまい、必要のない事を言ってしまう。しっかりルールを持ち応援をするべきだ。

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 フィールド上ではどんどんルールが改善されている。きっとこれからもより現代野球に合った仕組みが導入されて行くだろう。しかしファンは何も変わらないままだ。球場外、SNSでも野次が飛び交う。選手も監督もスタッフも皆人の子。相手に礼儀を持って対峙していれば何処にいても小汚い言葉にはならない筈だ。

 街の隅でのちょっとした一言が選手の目に留まってしまうのがSNSだ。小汚い言葉がそのまま文字として伝わるその前に、ファンなら敬意と愛をいつも最前線に置き、届けるべき言葉は一体何なのかよく考える事だと深く思う。

 昔昔、雨の横浜スタジアムまで結婚前の妻とテレビ中継を観ていて、いてもたってもいられなくなり、カッパをコンビニで買って急いで2人で行ったことがある。そして雨の中投げ込む高橋建に僕らは「建さん! 建さん!」と叫んだのだ。その時のカッパは今も大事にとってある。

 願わくばおじさんが反省し、そしてSNSの小汚い言葉が生まれ変わり、選手たちの力になりますように。

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