10分のインタビュー中に何度「compete」という単語を耳にしただろうか。カープ不動の4番、ライアン・マクブルームは、胸の内に秘める熱い思いを「compete=競争する」という言葉で表現した。「いつも“競争心と闘争心”を持ってゲームを迎えられるようにしっかり準備している。結果は自分でコントロールすることはできないが“競争心と闘争心”、そういう強い気持ちをもって毎日ゲームに挑んでいる」。
周囲の信頼度を高めている日々ひたむきに取り組み続ける姿勢
熱いハートの持ち主・マクブルーム選手は球界では珍しい“左投げ右打ち”の選手だ。今シーズンNPBでプレーする左投げ右打ちの野手はマクブルーム選手のみ。ちなみに投げること以外はどちらの手なのだろう。マクブルーム選手が1軍に合流した当初、選手たちも興味を持っていたようで、練習中に小園海斗選手が、「投げること以外はどちらの手でやるのか?」と質問をしていた。これは選手のみならず我々マスコミやファンの皆さんも気になっていたことだと思う。
マクブルーム選手は、「字を書く時やお箸を持つ時は右手を使う。投げること以外、すべて右利きだよ」と答えた。守備の時だけ左利きになるわけだが、肩の強さもあり送球は安定している。普段から右手を使っているからかファーストミットを持つ右手のハンドリングも実になめらかだ。安定した守備力は“両利き”によってもたらされているのかもしれない。
一方、打撃面においても、異国の地で初めて対戦する投手との打席が続く中、結果を出し続けている。コンスタントに成績を残す秘訣は〈準備〉にあるのではないかと考える。マクブルーム選手に伺うと試合前に行うルーティンを教えてくれた。
「単純なルーティンだが、練習前に必ずウエイトルームに寄って、まずは下半身をどっしりさせる運動をする。それからマシン打撃。これは速さ対策で、とにかく速いボールを片手で打ったり、バランスを考えながら打ったりして、練習に臨む前にすべきことは必ずやっている」
連日、同じことを続けることは難しい。だからこそ日々ひたむきに取り組み続ける姿勢は周囲の信頼度を高めている。カープの佐々木大地通訳はマクブルーム選手について、「常に自分のやるべきことを理解して、試合に向けて準備している。この取り組みは本当に素晴らしい」と話す。