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2022/06/12

source : ノンフィクション出版

genre : ライフ, 社会, 働き方, ライフスタイル

 高校で日本に帰国すると、テレビで見たのか、雑誌で読んだのかは忘れたが、私は初めてその光景の意味するところを知ることになる。

 タイはかつて国土の90%以上を熱帯雨林が占める森林資源に恵まれた国だったが、1980年前後から、欧米や日本などの海外資本がこぞって進出し、販売目的の伐採や開発を急激に進めたため、1990年には森林面積は25%ほどにまでに激減していたのだ。

 生態系は無残に破壊され、洪水などの自然災害が、たびたび起こるようにもなったという。

 大手企業が熱帯雨林伐採後に植林をして森林再生を目指しているというが、タイで私が目の当たりにした、あのヒョロヒョロの木こそが、まさに彼らが植林の名目で植えたユーカリやアカシアといった早生樹種だったのだ。森林が元の状態に戻るまでには、少なくとも300年以上はかかるそうで、そんな一時的な小規模の植林の効果が期待できるとは私にはとても思えなかった。

日本企業が自然を破壊していたショック

 なによりも私がショックだったのは、日本の企業も関わっていたという事実だった。

 私に日本の素晴らしさを熱く語っていた若者たちの祖国の自然を破壊していたのが、その日本の企業だったなんて……。海外での暮らしが長く、どこかで「日本=自分」とすら思っていた当時の私は、日本企業のしたことは自分の責任でもあるとまで思い詰めて、言いようのない後ろめたさに包まれていた。

 この事実を知ってからは、タイや熱帯アジア諸国の熱帯林の再生を自分がしなければという思いが募っていった。

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