29歳だった1995年のインタビューで薬丸は、《去年くらいから、意識改革もあったんですよ。自分はまだ若いつもりなのに、まわりは“結婚してコブつきで”という目で見ますよね。タレントとして役者として、イメージは確実に狭まっている。でもそれは僕の現実だから、その狭まった中で今度は自分がどうすればいいのか、考えるべき時が来ていると思うんです。勢いの20代と安定の40代の中間で、30代の不安って、ありますね》と、不安を打ち明けながらも自分の置かれた状況を冷静に見つめている(※6)。
「毎日チラシを見て、安い店で買い物をする」
月~金の生活情報番組『はなまるマーケット』(TBS系)のスタートにともない俳優の岡江久美子とともにMCに起用されたのは、この翌年だった。
薬丸によれば、この出演が決まったのは、あるトーク番組で「毎日チラシを見て、安い店で買い物をするようにしている」としゃべったのを、『はなまるマーケット』を立ち上げたプロデューサーがたまたま見ていて「こいつ、生活感あるな」と感じたからだという(※3)。そのプロデューサー・石川眞実はもともとは音楽番組『ザ・ベストテン』のディレクターで、シブがき隊時代の生意気盛りの彼を知っていただけに、変貌を感じ取ったようだ。
ジャニーズ時代は、新幹線の切符も買えず…
そもそも薬丸が生活を省みるようになったのは、シブがき隊の解散後、自分ひとりでは新幹線の切符も買えず、銀行に行ってもどうやって金を下ろせるのかわからない自分の世間知らずぶりにショックを受けたのがきっかけだった。それからというもの小遣い帳をつけ、新聞も読むようになったという(※6)。
『はなまるマーケット』は2014年まで18年続き、このあいだに生活感のあるタレントという薬丸のイメージは完全に定着した。『はなまる』終了後も、入れ替わるようにテレビ東京系の同じく平日午前中の帯番組『生活情報マーケット なないろ日和!』ではなまるファミリーの一員だった香坂みゆきとMCを担当、スタートから8年が経った現在も続いている。
この間、2015年には結婚25年の銀婚式を迎え、結婚時には直前まで黙っていた事務所への配慮もあってできなかった結婚式をハワイにて家族だけで挙げた。石川秀美は結婚とともに芸能界を事実上引退したが、その後も、たびたびCMに出演している。薬丸とは3男2女に恵まれ、芸能界では前出の薬丸翔のほか、長女の薬丸玲美もタレントとして活動する。