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女性パイロット役の彼女だけが機内で吐かなかった

 前出の船場氏も、こう語る。

「映画で若いパイロットが失神してしまう場面がありますが、実は私も飛行中に意識喪失をしたことがあります。空での射撃訓練中にどんどん視野が狭くなっていき、体感が失われ、耳も聞こえていないような感覚になりました。共に乗っていた教官が私の状況に気がついてくれたおかげで、なんとか事無きを得ました」

実機に乗る船場さん

 今作では、前作にはいなかった女性パイロット(モニカ・バルバロが演じるフェニックス)が登場するのも注目ポイントの一つだ。彼女も過酷な訓練を事前に受けたという。

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「日本の空自でも4年前に、女性のF-15パイロットが誕生して話題となりました。本作の撮影時には女性パイロット役の彼女だけが機内で吐かなかったと聞きましたが、私の教官時代の経験でも、耐G性においては女性のほうが、適性が高い面が確かにありました」(同前)

 元空自パイロットでTACネームはカメラ好きから「NIKON」。今は航空写真家の赤塚聡氏(56)が語るのはリアリティと映画的演出の絶妙なバランスだ。

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「敵機にかなり接近して攻撃する場面がありますが、あれは敵機から飛び散った破片で損傷を受けるので、実際はもっと距離をとって攻撃します。ただそれでは絵的に迫力がない。リアルさと画面の迫力を両立させるために相当議論を重ねたのではないでしょうか」