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――好奇心もすごいですよね。携帯小説を書いていたことを知ったときは度肝を抜かれました。

瀬尾 「ぱーぷる」というペンネームで、正体を隠して書いていたんです。電子書籍が出てきたときもすぐに反応して会社も作っていますし、インスタも楽しんでやっていました。

 若さの秘訣は好奇心があったことだと私は思っていて。瀬戸内は何事も自分でやってみたい人でした。「もう歳だから」というセリフは聞いたことがありません。

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 私が着ている服が気に入ると、「同じのを買ってきて」とリクエストが入ります。「それ素敵だから着たいけど、私は歳だから似合わないよね」じゃないんです。

――赤いポンポンのついたニットを見事に着こなしているのを見たことがあります。

©山元茂樹/文藝春秋

瀬尾 それ、まさに私が買ってきたやつですね(笑)。

 あと、瀬戸内は若い人が好きで、すぐ張り合おうとするんです。「いきものがかり」のライブに行ったとき何万人とお客さんがいたんですが、「私もこれくらい法話で集めたことある!」と言っていました。

 2013年に出演したオールナイトイベントでは、「青春は恋と革命です!」と言って若い人たちから大歓声を浴びていたのが記憶に残っています。

「瀬戸内は声を上げているのに、自分は何をしてるんだろう」

――若者といえば、安保関連法案に反対する学生団体「SEALDs」も応援されていましたよね。

瀬尾 私は瀬戸内と出会うまで政治に無関心で、自分の周りの人がつつがなく暮らせているならそれでいいと思っていました。だから瀬戸内がハンガーストライキをしたり、デモで反原発を訴えていても、どこか冷めた気持ちだったんです。

 意外にも瀬戸内も、「いくらデモをしても政府には届かないし、何も変わらない」と言っていました。ただその言葉には続きがあり、「こうして反対した人がいたことは歴史に残る。デモの最中に年寄りが一人死んだらニュースになって騒ぎになるかもしれない」と言っていました。

瀬尾さん提供

 その言葉を聞いたとき、瀬戸内は老体に鞭打って声を上げているのに、自分は何をしてるんだろう、と思いました。その後、ご縁をいただいて若年女性の支援団体「若草プロジェクト」に携わることになり、私なりの社会活動を続けています。

――おかしいと思ったら声を上げるのが寂聴さんだったんですね。