週刊文春」の報道以降、次々と明るみになる芸能界の性加害。6月14日放送のNHK「クローズアップ現代」では、「封じられてきた声 映画界の性暴力〜被害をなくすために〜」と題し、当事者の告発や海外の映画業界の取り組みについて報じた。番組内で紹介されたハラスメントに関するアンケートでは「書ききれない」といった答えが寄せられるなど、映画業界に蔓延る性暴力の実態が明らかにされている。

 スタジオには、「凶悪」「孤狼の血」などのメガホンを取った白石和彌監督がゲストとして登場。番組内で白石監督は「いたたまれない。言葉が出ない」と語り、俳優・女優、制作スタッフらへのハラスメントに対し「今このタイミングで色んな声を出すことが重要」と強調した。

 被害者が声を上げるに至った背景には何があったのか。女優たちの告発を詳報した小誌の記事を再公開する。(初出:「週刊文春」 2022年3月17日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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 3月25日から公開予定の映画「蜜月」。同作のメガホンを取った人気映画監督の過去の女優たちへの行動を巡り、同作の脚本家から製作側に見解を問うメールが出されていることが「週刊文春」の取材で分かった。

俳優と映画監督の二刀流で活躍

 映画「蜜月」では、主人公・美月役を人気女優の佐津川愛美が務め、義父役を板尾創路、夫役を永瀬正敏が演じている。「家庭内の性被害」にスポットを当てた作品だ。3月8日に完成披露上映会が行われたが、佐津川が登壇すると同時に感極まって泣きだす一幕もあった。この日は「国際女性デー」だったこともあり、佐津川はすべての女性たちに向けて「まだまだ生きにくい時代だと思うけど、それを解決していくのは(それぞれ)自分自身かなという思いがある」などと語り、公開を前に話題を集めている。

榊英雄氏(本人が代表取締役を務める会社、ファミリーツリーのHPより)

 監督を務めたのは、榊英雄氏(51)。榊氏は長崎県五島市出身で福岡の大学を卒業後、上京。1995年に主演作「この窓は君のもの」で俳優デビューを果たした。その後は下積みが続いたが、やがて自主映画の監督も務めるように。1998年公開の自主映画「“R”unch Time」がインディーズムービー・フェスティバルで入選。2009年の「誘拐ラプソディー」では第20回日本映画批評家大賞新人監督賞を受賞した。

「俳優業も軌道に乗り、近年はNHK大河ドラマ『西郷どん』や『いだてん』にも脇役で出演。俳優と映画監督の二刀流で活躍しています。最近は『蜜月』だけでなく安田顕と山田裕貴のW主演映画『ハザードランプ』も監督しており、こちらは4月中旬から全国で公開予定です」(映画ライター)