「家はシンとしていた」妻子の存在感はなし
「離婚後、近所の目を避けて生活していたように感じました。以前なら挨拶してくれましたが、離婚してからは一度もお話をしたことがありません。こちらから挨拶をしても、伏し目がちでさっと車に乗り込んでしまう。家もシンとしていて、再婚したことも小さなお子さんが家にいたこともわかりませんでした。前の奥様がいる時は、窓を閉め切っていても家から赤ちゃんの鳴き声や奥さんの声が聞こえてきたんですけどね。
昨年秋にお子さんの手を引いて家に入っていくショートカットの小柄な女性を見かけたことがあるので、もしかしたらあの女性が再婚した奥様なのかもしれません。4月頃でしょうか、旦那さんの車がない平日午後3時頃にピザの宅配が来ているのは2回くらい目撃して、誰かいるかなとは思っていたのですが……」(前出の阿部容疑者と親しかった近隣住民)
生後4カ月の乳児であれば、3時間おきの授乳は欠かせない。2歳の幼児もまだまだ目が離せない年頃だ。前出の住人は「一声かけてくれていたら、こんなことにはならなかった」と悔しさを滲ませる。
「10代の子が知らない土地に来て、幼い子ども2人を育てるのは大変なことですよ。札幌と釧路だと気候ひとつとっても全然違う。赤ちゃんが亡くなった6月8日は気温が10度くらいしかなく、部屋にいても寒くて暖房が必要なくらいでした。
あの月齢だと、ミルクは必ず6時間以内には必要でしょう? 2人のお子さんは水分も十分に摂れない状況だったでしょうね。奥さんもまだ若く、デートやパチンコがしたいなら託児所に預けるとか近所を頼るとか、いくらでも方法はあったと思います」(同前)
阿部容疑者が漏らした「家族が欲しかった」
前出の地元紙記者が現在の捜査状況について語る。
「夫婦は外出する直前に次男にミルクを飲ませたそうです。当日の気温から判断しても熱中症はなく、餓死や脱水症状の兆候もなかった。亡くなった子どもには基礎疾患があり、死因は内因死(突然死)と断定されたそうです。阿部容疑者は『放置したら死んでしまうという考えはなかった』という内容の供述をしています。また、10代の妻と結婚した理由について『家族が欲しかった』と語っているそうです。警察は保護責任者遺棄致死の疑いも視野に入れて捜査しています」
妻は公的な支援が継続されていた特定妊婦だ。幼い命を救うことはできなかったのだろうか。
妻の支援をしていた釧路市のこども保健部こども支援課に問い合わせたところ、これまで2度の面談では「世帯状況の把握と困り感等がないか等聞き取りを行った」として、家庭環境や虐待などについては「家庭訪問を行った結果、世帯に特に心配な様子や不審な点はありませんでした。また、市民からの通報等もありませんでした」と回答した。6月中には釧路市による3度目の面談が予定されていたという。
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