1ページ目から読む
2/4ページ目

 戦闘機パイロットの最高峰を育成する、アメリカ海軍戦闘機兵器学校“トップガン”。前作で同校の教官になることを決意したマーヴェリックだったが、現在は教官を辞めて極超音速機のテストパイロットを務めていた。

 そんな彼に、かつてトップガンで競い合った仲でもあるトム・“アイスマン”・カザンスキー海軍大将(ヴァル・キルマー)から、ある要請がなされる。それは、“ならず者国家”の核兵器開発プラントを破壊する作戦のために集められた若いパイロットたちを指導するというものだった。

© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

「トップガン・アンセムー賛美の世界ー」が鳴り響くなか、空母の飛行甲板で戦闘機の離着陸に備えるデッキクルーたち。曲がケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン~トップガン・テーマ」に切り替わるや、次々と飛び立っていく戦闘機。

ADVERTISEMENT

 そんな前作を完全に踏襲したオープニングをはじめ、マーヴェリックが駆るバイクがいまだにカワサキのNinja(今回はH2R、『1』ではGPZ900R)であったり、ヒロインの愛車が前回も今回もポルシェであるなど、前作の韻を踏んだノスタルジー喚起のアレコレにグッとくる。でも、泣かされるのは、そこではない。

トム・クルーズ流、“コースから外れた中年像”

 極超音速機のテストパイロットを務めているものの、マーヴェリックの住まいは打ち捨てられた格納庫。組織に身を置くには不向きな性格と言動は36年を経ても変わっておらず、それが原因で出世コースから外れての“現在”であることが窺える。劇中で堂々と「僕の場所はここだ」と語っており、彼がそれを気にしていないどころか、望んでいる節もあるのは明らか。だが、この“コースから外れた”が実に深く刺さるのだ。

 就職氷河期世代の我々は、第二次ベビーブーム世代でもある。当時はまともな大学を出て、まともな会社に勤めるのが当たり前のものとされ、そのコースから外れたら人生終了の雰囲気があった。しかし、1971(昭和46)年から1974(昭和49)年までの年間出生数は約200万人と、2021年出生数の約81万人と比べたら2.5倍。あまりにガキが多いゆえに大学に進むのも至難の業、そこへバブル崩壊による就職氷河期も到来。