『トップガン マーヴェリック』がメガヒットしまくりで、どえらいことになっている。

 日本では5月27日に公開され、初日から3日間で興収11.5億円を記録。公開から11日目で、動員199万人、興収30億円を突破した。すでに世界興収も710億円を超え、この勢いはちょっとやそっとでは止まりそうにもない。

※以下の記事では、『トップガン マーヴェリック』の内容や結末が述べられていますのでご注意ください。

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49歳は、なぜ号泣してしまったのか

 俺は1973年生まれ、いわゆる就職氷河期世代にあたる49歳。多感だった13歳で前作『トップガン』(1986年)を観てしまったばかりに、劇中では誰ひとりとして着ていないフライトジャケットのMA-1をまとい、貸しレコード屋で借りてきたサントラをカセットテープに録音して聴きまくり、ケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン~トップガン・テーマ」やハロルド・ファルターメイヤー&スティーヴ・スティーヴンスによる「トップガン・アンセムー賛美の世界ー」を脳内再生しながら「週刊少年ジャンプ」を早売りする隣町の酒屋へ自転車をすっ飛ばす中学生活を送った。

 というわけで、『トップガン』というタイトルの字面と響きには抗えないものがある。しかも、36年ぶりの続編。気がつけば、劇場に向かっていた。そして鑑賞後は感極まって涙が溢れる寸前の状態になるものの、涙をこらえて帰宅し、妻子が寝た後に反芻してドップンドップンと涙を流し、住環境に合わせたレベルで慟哭した。

 なぜ、いい歳をして号泣してしまったのか。それは、トム・クルーズ演じるピート・“マーヴェリック”・ミッチェルが歩んできた前作から36年という月日、その果ての現在地が、我々の世代がいる現在地と重なっているように見えてしまったからだ。さらに、そんな我々を叱咤激励までしてくれたように感じたのだ。

 もちろん、あちらはキラッキラのトム・クルーズでマーヴェリックである。はなから比べることなんぞできない相手なのは百も承知だが、それでも最大限に融通を利かせた拡大解釈をすることで我が身と重ねてしまうし、数々の場面やセリフがズブズブと刺さりに刺さってたまらなくなる。