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ミニバン部門1位は「独自路線」のアノ車

 ミニバンはターゲット層の変わりにくいジャンルだが、やはり先進安全装備の充実や環境性能の向上によるコスト増は避けがたく、平均して2002年比150%ほどの価格を記録した。かつては庶民的な印象のあったミドルサイズのミニバンも、今では400万円を超えるケースが珍しくなくなっている。

【1位】三菱・デリカD:5 192.8万円→393.4万円(2002年比:203%)

オフロード系ミニバンのデリカは、個性をキープしつつディーゼルエンジンに販売を一本化し、コア層をメインターゲットに

 オフロード走行もこなせるミニバンとして長らく唯一無二のポジションを保っているデリカだが、価格は以前の2倍と大きく変化。

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 顕著な値上がりは、安価なガソリンモデルをラインナップから外し、ディーゼルエンジンに一本化したことによる。2019年まで販売されていたガソリンモデルの価格は249.5万円であり、むしろ上昇を抑えている部類だ。

【2位】ホンダ・オデッセイ 212.5万円→349.5万円(2002年比:165%)

90年代に一斉を風靡したオデッセイ。アルファード・ヴェルファイアに奪われたシェアを取り戻すため大型化・上質化を図るも、巻き返しとはいかなかった

 全高の低いミニバンとして、エスティマとともに一時代を築いたオデッセイだが、2000年代後半からはアルファードの台頭により立ち位置を失っていく。現行モデルは時流に乗るべくスライドドアを採用し、全高もアップしたが、アルファードの牙城は崩せなかった。

 2020年からは上級グレードの「アブソルート」のみの扱いとなり、最安値が45万円ほど上昇。改良のたび上質感を高めたが、販売は振るわず、昨年末をもって生産を終了し、在庫分のみの販売となった。

【3位】トヨタ・ヴォクシー 189万円→309万円(2002年比:164%)

ミドルサイズミニバンの代表・ヴォクシー。初代モデルから兄弟車のノアとグレードを統一していたが、今回のモデルでは差別化が図られた

 今年1月にモデルチェンジしたばかりの新型ヴォクシーが3位にランクイン。2001年の登場から、兄弟車のノアとともにミドルサイズミニバン市場を牽引し、当時は200万円を切る価格で庶民的ファミリーカーを代表する車種だった。

 現在のモデルはグレード構成の面でノアと差別化が図られ、ノアに設定されるエントリーグレードを廃止。先進安全装備やエアロパーツを標準装備としたことで価格が上昇し、ハイブリッドモデルの購入価格帯は400万円台にもなる。

【最優秀賞】日産・エルグランド 289万円→約369.5万円(2002年比:128%)

上昇率を抑えたエルグランド。しかしマーチと同様、20年前からフルモデルチェンジは1度きり

 コンパクト部門に続き、日産車が最優秀賞に。とはいえこのエルグランドも、マーチと同様に現行モデルの販売は2010年から。

 ハイブリッドモデルの設定もなく、同社の軽自動車にもオプション設定される先進装備「プロパイロット」の設定もない。モデルチェンジを控えれば価格上昇は抑えられるが、機能・性能面で後れをとってしまう、というシンプルな事実を教えてくれる。