給料は上がらないのに、物価ばかりが上がっていく。こうした日本の惨状は、「車の購入」においても生々しく実感することができる。
たとえば20年前に150万円で買えたシビックは、今では300万円を超え、当時であれば高級車のクラウンに手が届くほどの価格になった。これ以外にも、20年前に比べて1.5倍~2倍の値が付けられる車種は珍しくない。
それでは実際のところ、個々の車種で見た場合、どの車がどれだけ高くなったのか。今回は、国内メーカーの乗用車種のうち、「20年前から存続するモデルの最廉価グレード」について、2002年当時からの価格上昇率を調べた。
以下では、部門を「コンパクト」「セダン」「ミニバン」「SUV」「軽自動車」の5つに分け、「値上がりが顕著な車種」と「値上がりが抑えられている車種」を紹介していく。
なお、今回は「日常の足」がどれだけ高くなったのかを見るために、スポーツカーやオフロード向けのクロスカントリーなど趣味性の強い車種については扱っていない。
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経済性がウリのコンパクト部門…値上がり率は?
コンパクト部門では条件に合致する車種が6つしかなく、上昇率の差もさほど顕著ではない。値上がり率1位と最下位を紹介するに留めたい。
【1位】トヨタ・ヤリス(旧ヴィッツ) 81.5万円→139.5万円(2002年比:171%)
コンパクト部門のトップは、2000年代の販売ランキングにおいて上位常連となっていたヴィッツあらためヤリスである。当時は80万円台の廉価グレードを設定していたが、モデルチェンジごとに価格が微増し、現行モデルでは約140万円スタートとなっている。
なお、現在でもベースグレードには先進安全装備やハイブリッド機構は付いていない。燃費性能やボディ剛性など、基本性能の向上にともない大きく価格が上昇した形だ。
【最優秀賞】日産・マーチ 95.3万円→約128.9万円(2002年比:135%)
コンパクト部門で最も値上がりを抑えたのは、日産・マーチだった。その他のモデルが2002年比で概ね150%程度の価格になっているなか、マーチの場合は135%に留まる。
しかしこれは、マーチが2010年からモデルチェンジをしていないことに由来する。一般的な車種のモデルチェンジ周期は6~7年であるから、その倍も販売を続けていることになる。
性能や装備の面で新しいモデルに見劣りする感は否めず、今年中に販売が打ち切られる予定である。