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SUV部門はまさかの「伏兵」がトップに

 SUV部門の平均値上がり率は1.5倍ほど。セダン部門で顕著だったように、「海外市場をメインターゲットに据える」ことでキャラクターが変わった車種が上位にランクインした。

【1位】スズキ・エスクード 163.3万円→297万円(2002年比:182%)

マイナー車種エスクードがトップに。ハンガリー工場での生産であり、現地では人気車種だとか(写真はSUZUKIホームページより)

「エスクード」と聞いて、パッと歴代モデルをイメージできるのは相当な車マニアだけだろう。軽のイメージが強いスズキだが、普通車のSUVも手がけているのだ。

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 先代までは無骨なデザインの本格クロスカントリーだったが、現行モデルはスタイリッシュに生まれ変わり、衝突安全性能や先進安全装備を充実させた。今年4月のマイナーチェンジでハイブリッドを搭載、パワートレインをこれに一本化したことで価格が上昇している。

【2位】ホンダ・CR-V 187.8万円→336.2万円(2002年比:179%)

アコードやシビックと同様、北米市場をターゲットに据え価格が150万円ほど上がったCR-V。日本市場での販売は振るわなかったが、北米では人気車種である

 1995年に登場した初代CR-Vは、タウンユースのSUVとして国内で人気を博したが、2代目モデルが北米市場でヒット。世界戦略車として徐々にサイズアップし、同時に価格も上昇していった。

 現行モデルは北米市場、中国市場に遅れる形で2018年に国内市場に導入されるも、売上が伸びず今年中の販売終了が予定されている。

【3位】トヨタ・RAV4 160万円→277.4万円(2002年比:173%)

RAV4も海外市場にあわせて「キャラ変」を遂げたが、こちらは日本でも販売好調

 1994年に登場し、コンパクトSUVの先駆けとなったRAV4だが、上述のCR-Vと似た運命をたどる。世界戦略車としてボディはモデルチェンジごとに肥大化し、国内の需要減から2016年には日本市場での販売を打ち切っている。

 北米市場に半年ほど遅れ、2019年に現行モデルの国内販売を開始。CR-Vとは対照的に好調な売上を記録したが、当時よりも二回りほど大きくなったボディに驚きの声も聞かれた。

【最優秀賞】三菱・RVR 176万円→214.4万円(2002年比:122%)

 RVRのフルモデルチェンジは2010年。やはり長寿モデルほど、値上がり幅が小さい傾向が見られた

 SUV部門で値上がり率を最も抑えたのは、三菱のRVRだ。マイナー車種だが、現行モデルは2010年から発売されている。マーチやエルグランドと同様、「発売時期が古いがゆえに価格があまり上昇しなかった」という特殊ケースである。

【敢闘賞】トヨタ・ハリアー 244.5万円→299万円(2002年比:122%)

意外にも上昇率が抑えられたハリアー。依然として「プレミアム感」を維持しており、相対的なお得感が強まった

 上のRVRとほぼ同じ上昇率に留めたのが、元祖都会派SUV・ハリアーである。当時から内外装の上質感を特徴としていたが、その路線を維持しながら安全装備も充実させ、それでいて価格上昇は最低限に留めている。

 ベースグレードで比較すると、たとえばミドルサイズミニバンのステップワゴンよりも安い。20年前、「ハリアーがステップワゴンよりも安くなる」など誰も予想していなかったのではないか。