この時期に次期監督を語っても失礼に当たらない

 さて、ペナントレースも折り返しを過ぎて、いよいよ盛り上がって……と言いたいところだが、ヤクルトが脇目も振らずに突っ走り、セ・リーグの戦いの炎はもはや風前の灯火。

 去年の逆をやったるでーと、6月の快進撃で阪神ファンの意気も上がったが、広島に相変わらずひとつも勝てず、DeNAにスイープされて再び順位を落とし、しょんぼりしてしまった。

 今回は、そんな軽い厭世観の下、「次の阪神の監督は誰なのか?」についてあれこれ放言する。いくらマジック点灯寸前といってもまだオールスター前。「次の監督」を語るなどというのは現監督に対して失礼極まりない話だが、今季の阪神タイガースだけはまったく失礼には当たらないからいいのだ。

ADVERTISEMENT

赤星よ、頭脳的な盗塁&守備技術を後輩に伝えてくれ

 NPBの監督の年俸は億単位らしいし、野球に携わったからにはやってみたいという人も多いはずだが、こと阪神タイガースの監督に限っては、そのうちなり手がいなくなりはしないかと心配になる。在阪民放では朝昼夕のワイドショーであれこれと話題にし、在阪スポーツ紙では一面でなんだかんだと書き、何より今の時代はYouTubeやらネットニュースやらSNSなどで評論家や「自称評論家」にまでボロカスに叩かれる。

 昔なら居酒屋で発散されてその場で消えていった言葉が、いつまでもネット空間に漂い、エゴサーチするとダイレクトに突き刺さってくる(歴代阪神監督はエゴサーチなんてやっていないと思うが)。ある程度ネットを使いこなす世代だったら、あんな因果な商売はやりたくないと思っても不思議ではない。

 赤星憲広にしろ、鳥谷敬にしろ、藤川球児にしろ、解説を聞いていると、理路整然と語るし、弁も立つし、選手たちへの気づかいも素晴らしく、将来は阪神の指導者になってほしいと思う。でも、テレビの世界にポジションができてしまったら、何が悲しくて阪神の監督みたいな針のムシロに座らなきゃならないのかと思うのではなかろうか。

阪神時代の鳥谷敬と赤星憲広

 赤星には早々に外野守備走塁コーチから現場復帰してもらい、作戦参謀から監督へというコースを歩んでほしいと願っていた。しかし、もはやすっかりマルチタレントで、野球に限らずどんなことにでも達者にコメントできてしまう。確かにそれも楽しくていい仕事なんだろうが、あの頭脳的な分析に裏付けされた盗塁技術や、弱肩をカバーして余りある打球へのアプローチなどを、タイガースの後輩のために伝授してほしい。新庄が抜けたあとのセンターを「ビッグマウス」どおり本当に埋めて、チームを強くした実績を、もう一度監督で生かしてもらいたい。そう思いつづけている。