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大御所演歌歌手に通じる“休まない”生き方 巨人・丸佳浩をもっと評価したい理由

文春野球コラム ペナントレース2022

柔軟に役割を変えられる“ポップな侍”

 僕が丸選手に対して抱くイメージは「ポップな侍」です。低い弾道でライトスタンドに打球を突き刺す際の、右手一本でのフォロースルーなど侍の居合抜きのよう。かつて巨人に在籍した小笠原道大さんが「無骨な侍」なら、丸選手はポップさを感じる侍です。ホームランを打った後に両手で円をつくる「丸ポーズ」。ロッカールームでは絶えずゲームに興じる一面や、極度の野菜嫌いという一面にも愛らしさがあります。

 そして、チーム状況に応じて柔軟に役割を変えられる点も、丸選手の魅力です。広島時代は盗塁王を獲得したこともありますし、39本塁打を記録したシーズンもありました。巨人移籍後の2019年CSファイナル・阪神戦では、意表を突くセーフティースクイズで決勝点をもぎ取ったシーンも印象深いです。

 今季の開幕戦での打順は6番でしたが、その後は1番を長く任され、現在はおもに2番。7月1日現在、通算1542安打、240本塁打、打率.284の実績を残しながら、求められる仕事に器用に応えてくれる丸選手の献身には頭が下がります。もし、丸選手とお酒を飲みにいける機会があれば、「ぶっちゃけ、本当は何番で出たいんですか?」とこっそり聞いてみたいです。

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 昨年は極度の打撃不振に陥り、二軍で調整する苦しい時期もありました。それでも最終的には持ち直し、23本塁打を記録しています。丸選手の打者としての安定感、野球人としての鉄人ぶり。もっと評価されてほしいと願わずにはいられません。

 丸選手は今年で33歳。平成生まれの2000本安打達成も現実味を帯びてきました。できることなら、その瞬間を巨人の選手として迎えてほしいものです。FAで巨人に移籍した選手は引退を他球団で迎えるケースが目立ちますが、丸選手には巨人でプレーし続けてもらいたいです。

 われわれ純烈は、昨年に明治座で約3週間にわたって1日2部制の公演で座長を務めさせていただきました。期間は短かったとはいえ、座長としてのプレッシャーを感じながら戦い抜いたことで先輩方の偉大さをあらためて感じました。その大きすぎる背中を追いかけて、これからもエンターテインメント界で戦っていきたいと思います。

 そして丸選手にも、これからも毎日スターティングメンバ―に名を連ねることで、プロとしての尊さを示し続けてもらいたいです。

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