ついに6月24日に公開となった、是枝裕和監督による韓国映画『ベイビー・ブローカー』。主演のソン・ガンホが最優秀男優賞を受賞したカンヌ映画祭。授賞式直前にティーラウンジで是枝監督と話をしていると、そこに現れたのは……。
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5月に行われた第75回カンヌ国際映画祭。是枝裕和が「韓国映画を撮る」という大きな挑戦をした作品『ベイビー・ブローカー』は、名優ソン・ガンホに韓国人初の男優賞を見事もたらした。
2018年に『万引き家族』でカンヌのパルムドールに輝いた後、翌年の『真実』でカトリーヌ・ドヌーヴを主役に自身初の国際共同製作に取り組んだ是枝は、今回は自らが単身、韓国映画界に飛び込むことを選んだ。
物語の中心となるのは、韓国ではベイビー・ボックスと呼ばれる「赤ちゃんポスト」に託された生後間もない赤ん坊。貧しいクリーニング屋のサンヒョン(ソン・ガンホ)は、ボックスが設置された教会のヘルパー、ドンス(カン・ドンウォン)と共謀して赤ん坊を盗んでは、子供のいないカップルに売り捌いていた。
ある日、一度は捨てた赤ん坊に未練があった若い母親ソヨン(イ・ジウン)が戻って来た。2人はソヨンを説得し、より良い買い手=養父母を探す旅に出る。そこに彼らを追う刑事スジン(ペ・ドゥナ)らが加わり、さまざまな葛藤とドラマが交差する―。
きっかけは、ソン・ガンホと是枝の15年前の出会いだった。
「釜山映画祭で彼が出演した『シークレット・サンシャイン』を観終わった直後で、取材で『一緒に映画を作りたい韓国の役者は誰ですか?』と聞かれて『ソン・ガンホさんです』と答えたんです。その帰りにエレベーターの扉がチーンって開いたら、ソン・ガンホがいた。それで、これはもう運命だなぁって(笑)。
今回の映画も、ベイビー・ボックスに預けられた赤ちゃんを神父姿のソン・ガンホさんが抱き上げ、あの笑顔で優しく話しかけながらも売っちゃう、というシーンを思いついたのが始まりです」
サンヒョンは、ガンホが『タクシー運転手』などで演じてきたような圧倒的な主人公ではなく、やや引いた立場で“子供たち”を見守る役どころだ。