「コロナ禍で家にこもっていた時に、韓国ドラマにはまったんです。普通ですね(笑)。特に一番泣いたのが『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』。山崎裕さんという81歳のベテラン・カメラマンに『イ・ジウンという女優が素晴らしいから』と勧められて観始めたら、完全にはまって。
映画のプロットが大体固まった時に、この役の第一希望としてイ・ジウンさんをあげて、一度リモートでお話ししました。後で聞いたら、脚本を読む前に彼女は共演したことのあるペ・ドゥナさんに相談したらしいんです。彼女が『ぜひやるべきだ』とアドバイスをしてくれたそうで即決でした。とてもありがたかったです。
ペ・ドゥナさんの後輩刑事役のイ・ジュヨンさんは『梨泰院クラス』で強烈でしたが、その前に『春の夢』という映画で印象に残っていたんです。キム・ソニョンさんは『愛の不時着』で知って。イ・ドンフィさんは色んな作品で見かける度に良いなと思っていた人。そして『はちどり』のキム・セビョクさん。
映画やドラマを観て気に入って、声をかけたら意外と皆さんOKしてくれたんですよ、ありがたいことに」
※続きは発売中の『週刊文春WOMAN vol.14(2022年 夏号)』にて掲載。後半では、「韓国語の全セリフを共に作り直したペ・ドゥナの献身」、「ハラスメントが問題となっている日本映画界の一員として思うこと」、「英語圏で映画を撮ってみたい理由」などが語られます。祝・受賞企画「ソン・ガンホが語る」も。
KOREEDA HIROKAZU
これえだひろかず/1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、テレビマンユニオンに参加。ドキュメンタリーの世界で活躍後、95年『幻の光』で映画監督としてデビュー。カンヌ国際映画祭ではこれまで『誰も知らない』(04年)で主演の柳楽優弥が最優秀男優賞、『そして父になる』(13年)で審査員賞、『万引き家族』(18年)で最高賞のパルムドールを受賞している。
いしづあやこ/洋画配給会社に勤務後、ニューヨーク大学で映画製作を学ぶ。カンヌ映画祭、釜山映画祭には毎年参加。韓国の俳優、監督への取材経験も豊富。
【週刊文春WOMAN 目次】特集・戦争入門/ヤマザキマリ×小泉悠/中野信子 愛国心のワナ/稲垣吾郎×逢坂冬馬/不肖・宮嶋/是枝、ソン・ガンホが語る/坂東玉三郎、尾上菊之助
2022夏号
2022年6月21日 発売
定価550円(税込)