これはまるで夏休みのよう
7月20日に抹消となってチームを離れ、試合に戻れるまでの見込みは約4週間。ふと、これはまるで夏休みのようだなと思いました。最初からの予定でもなければ期待していたものでもない故障離脱を夏休みというのも突飛な連想ではありましょうが、プロ野球選手の療養はただ休んでいればいいのではなくて、リハビリという課題を持ってのものである訳ですよね。宿題や自由研究に取り組むように。
計画する
実行する
失敗する
出会う
知る
発見する
冒険とスリル
自由とよろこび
まさに
夏休みそのものだ
(大島弓子「毎日が夏休み」より)
宿題を抱えて夏休みに入ったのは松本剛だけではなく、彼を欠いたファイターズもそうだと思うのです。というか彼を欠いただけじゃないんですよね。やはり骨折の上沢直之をはじめ、新型コロナウイルスで監督以下大量離脱中の今、1軍と2軍が合体したようなことになっています。チーム全体としては苦しいのに違いありませんが、鎌ケ谷から呼ばれた選手達にとっては願ってもないアピールチャンス、とはいうもののこんなことでもなかったら今の時期に昇格はしていなかった筈の若手組、1軍で結果を出すのはそう簡単なことではありません。2軍の試合、2軍の対戦相手とは何が違うのか、どうすれば対応できるのか。身をもって探り当てなければならないんです。おとなが手伝ってくれないキャンプやオリエンテーリングのように。
松本剛が負傷した19日は、実は悪いことばかりの日でもありませんでした。右足の指を骨折した上沢直之、当初の見込みは復帰まで約8週間ということだったのですが、この日に手術を受けたあと、順調なら約4~6週間に短縮できる見通しだと発表されたのです。
先日のコラムで今井豊蔵さんも書いていましたが、松本剛と上沢直之は、もうチームを背負う立場の筈でありながら、なかなか揃っての活躍ができない「93世代」です。相次いで骨折してしまいましたが、不幸中の幸いで2人とも今季絶望というようなことにはなりませんでした。うまくいけば8月のうちには、一緒に1軍に戻れるのかもしれません。
その時まで。
思いがけなかった夏休みが、どうか有意義な日々となりますように。
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