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カツオが豊漁? ニュースの裏にある真実「いま“土佐の一本釣り”が危ない!」

 高知といえばカツオ、カツオといえば高知。

 総務省の家計調査でも、高知市民のカツオ購入量は年間4329グラムと、2位の仙台市に倍以上の差をつけている。

 また高知県の調査によると、高知旅行でやりたいことを尋ねたところ、トップは「カツオを食べる」だった。

 その高知のカツオといえば、やっぱり一本釣りだ。

 舳先や船側に立ち、一本の釣竿で次々と鰹を釣り上げる豪快な漁法で、生きたまま釣り上げるため鮮度がよく、身の傷みが少ないのが特徴だ。

水揚げ後、ベルトコンベアで次々と運ばれるカツオ(勝浦漁港)

 1975年から10年以上も「ビッグコミック」に連載された、青柳裕介さんの漫画『土佐の一本釣り』で、全国的に知られるようになった。

 このカツオの一本釣りは、漁場によって3つに分けられる。

 大型船で数十日をかけて南洋に行く「遠洋」。黒潮を回遊するカツオを太平洋で追いかける「近海」。小型の漁船で漁をしてその日のうちに水揚げする「沿岸」だ。

 このうち、もっとも一本釣りらしいのは、大海原で10カ月間もカツオを追いかける近海漁だ。漫画『土佐の一本釣り』で描かれたのも、この近海漁の漁師の世界である。

最盛期の15%にまで減少

 ところが、この近海一本釣りが、いま危機に瀕している。

 6月のはじめ、ニュースで「カツオが豊漁、値下げも」と話題になっていたが、それはあくまで一時的な現象で、実際、4月までは記録的な不漁だったのだ。

水揚げされた後、サイズごとに分けられたカツオ(勝浦漁港)

 データを見ると、近海一本釣りの漁獲量は1978年に16万トンを超えたものの、近年は一貫して減少傾向で、2020年には約2万4000トン。

 なんと最盛期の15%にまで減っている。ちなみに遠洋漁も沿岸漁も最盛期には遠く及ばない状況だ。

 減っているのは漁獲量だけではない。カツオを獲るための一本釣り漁船も激減している。なんと本場の高知県でさえ、10隻程度しかないという。

 しかもカツオ船は構造が特殊だ。一本釣りに欠かせないエサのカタクチイワシを生きたまま運ぶ魚槽が必要なため、配管も複雑。新造船には10億円ほどかかるため、近年、カツオ船が新たに造られたことはないという。

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