今泉被告は同時期に別の30歳や17歳の女性にも同様の手口で金を奪ったり性交したりしている。これらの犯行により性被害にあったのは、2018年7月に1人。2019年10月~12月に6人の計7人で、その多くが現金も奪われている。
驚愕の無罪主張「被害女性との性交は『SMプレイ』」
被害女性らは勇気を出して、今泉被告の残虐な犯行を福岡県警に訴えた。しかし一方で、今泉被告は法廷であれこれと理由をつけて「完全無罪」を主張したのだ。福岡の司法担当記者が解説する。
「被害女性との性交は『SMプレイ』と表現し、写真撮影も同意があったとして、無罪を主張したのです。一審で検察の求刑は計40年。通常は求刑から2割欠けるくらいの判決が多いのですが、福岡地裁は求刑を超える41年の判決を出しました。
裁判官はA子さんの膣内に金属棒を繰り返し挿入した件について『陰惨、残虐だ』と指摘。奪った金も、余裕のない被害者に消費者金融で多額の借金を負わすなど『特異』であり、あまりにも悪質な犯行な上、反省の態度も見られず、『更生の可能性をうかがわせる事情が見当たらない』とまで切り捨てました」
今泉被告側は「背後に暴力団員がいるとは言っていない」などと細かな主張を重ねて刑の軽減を求めて控訴したが、福岡高裁も「信用できない」とまったく被告の主張を受け入れずに一審を維持。最高裁も上告を棄却。別事件の判決が関係する“偶然”があったとはいえ、懲役41年という日本の刑事裁判史上異例の判決が確定した。
「長すぎる」と量刑不当を訴えた被告。しかし残虐な犯行が被害女性に刻んだ心の傷は、40年以上を経ても完全に癒えることは二度とないだろう。