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唯一にして最大の弱点は、主役のレイが全然目立たないこと

小石「そやけど、群像劇でもやっぱり主役は大事やで。『最後のジェダイ』の、ほとんど唯一にして最大の弱点は、主役のレイが全然目立たへんことや。彼女がなんでダークサイドに堕ちず、レジスタンスの側で戦い続けるのか、その理由がさっぱり見えてこない。要するに『主人公の物語』がきっちりと描かれてへんのや」

「うーん。そこは私も同意せざるを得ないなあ。ダーク・サイドに堕ちたカイロ・レンとはフォースを通じて何度も心を交わらせ、明らかに共感しあっている様子なのに、師匠になるはずのルークとは、最後まで心を通わせることができない。前作ではいい感じだったフィンとの関係も、今回はまったく描かれないし。彼女がカイロ・レンから『仲間になろう』と手を差し伸べられた時には、レイが本当にそれに乗っちゃうかと思ったぐらいですよ」

小石「そうやねん。レイがダークサイドに堕ちる動機は山ほどあるのに、敢えてライトサイドにとどまり続ける理由がよう分からん。決定的にまずいのは、『ルークとレイの関係』にきっちりとケリがつかないまま、物語が終わってしまうことや。ヨーダだって、ルークに『ベン・ソロ(カイロ・レン)を失い、レイまでも失うことはない』『お前が学んだことを彼女に伝えよ』とアドバイスしているのに、結局ルークはそれをやらずじまいやからなあ……。別にレイの出自がスカイウォーカー家でなくても構わんし、レイだけを目立たせる必要もないけど、旧シリーズの主役だった『ルークの魂』は、しっかりとレイに受け継がれた、という描写だけはきっちりやってもらわんと、俺は納得できん!」

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「物語の流れ上、これ以上レイとルークを絡ませるのが無理だったのでは?」

本当はこうして欲しかった! 妄想クライマックス

小石「いやいや、そんなことはないで。例えば、クライマックスの直前、ルークがフォースを使って、レイに『私は自分の犯した過ちを償わなければならない。君の力が必要だ。助けてくれ』と語りかけるシーンを入れるんや。『ルーク最後の大芝居』が、実は二人のフォースの力を合わせた共同作業だった、ということになれば、ルークとレイの和解にもなるし、二人の絆もぐっと深まるやないか」

「ルークは『ジェダイの帰還』で銀河皇帝に殺されそうになった時にも、ダース・ヴェイダーに『お父さん……、助けて!』と言っちゃうぐらいのへたれキャラですからね。『助けて』で過去作の韻を踏むのは、確かに効果的かも」

小石「今となっては、そのひ弱さこそがルーク最大の魅力や。ルーカスが、自分自身の弱さをルークに託してさらけ出したことで得られた『人間としてのリアリティ』やろう。そして、レイが仲間を助けるために無数の岩をフォースで動かそうとする時には、今度はルークがレイをサポートする。『There is no try. Do it !(やってみるんじゃない。とにかく、やるんだ)』とか、ヨーダっぽいことを言いながらな。そして、エピソード4の最後でオビ・ワン・ケノービがルークに告げた『Remember. The Force will be with you, always(忘れるな。フォースは常に君と共にある)』という言葉をレイに残して、去っていくんや」

ひ弱さこそがルーク最大の魅力 ©getty

「ルークがやり残していた『レイを導くこと』を、先人たちの教えと共に完結させるんですね」

小石「劇中ではこの二つのことが同時並行で起きるけど、演出を工夫すれば時系列をずらすことは十分可能やと思うで。本当は、今回のルークは、『新主人公であるレイのキャラを立たせるための踏み台』になるべきやったんやけど、逆にレイが『ルークの物語を完結させるためのサブキャラの一人』みたいになってしまっとる。俺はレイを携帯の待ち受け画面に使っているぐらい、前作のレイが好きやったから、そこが残念でたまらんのや」

「なんだかんだ言っても、新シリーズも大好きなんですね……。しかし、作品の不満な部分を自分の妄想で補完しちゃうなんて、小石さんのスター・ウォーズ愛も行き着くところまで行っちゃってますね」

小石「スター・ウォーズは、俺がこの世界を生き抜くための支えの一つやからな。失うわけにはいかん。これからは、ディズニーが作るスター・ウォーズと、俺が妄想するスター・ウォーズと、どっちがおもしろいか勝負じゃ!」

「……(やっぱりこの人とは、あんまり関わらないほうが良さそうだ)」