プロ野球・西武ライオンズの中村剛也(38)が7月6日に京セラドーム大阪で行われたオリックス戦で、通算1956三振のプロ野球記録を樹立した。その前日には清原和博の史上最多1955三振に並んでいた。ホームランか三振か――。現代野球では希少種となった「アーチスト」は5月の通算444本塁打の長嶋茂雄超えに続き、新たな勲章を手にした。
清原和博氏も「ショック」
新記録の瞬間、オリックスの黒木優太のフォークボールにバットが空を切ったものの、中村は大きく体勢を崩すことはなかった。芯に当たればスタンドへの放物線と紙一重の、真骨頂の振り切るスイングだった。
今季の開幕前、清原氏は自身のYouTubeチャンネルで「ホームランをたくさん打っているけど、プロ野球選手で一番三振している。中村に抜かれると、野球少年に言える唯一の自慢がなくなる。それがショック」と語っていた。その言葉は現実のものとなった。
しかも自身の記録は2338試合、9428打席でのものだが、中村は1913試合、7497打席。試合、打席数ともに二度と破る者が現れないと思わせるほど、圧倒的なスピードで到達した。
三振はホームランのための「必要経費」
三振はネガティブに捉えられる。しかもこのハイペースだ。しかし、それは選ばれた打者のみがたどり着ける境地でもある。
これだけ三振しても、ベンチに本塁打を期待され続けてきたことの証しである。本人も「三振はしたくないが、仕方ないかなと思ってやっている」とホームランのための“必要経費”と捉えている。
若き日の中村は、確実性を欠く打撃がレギュラー定着を遠ざけていた。しかし、プロ4年目の2005年、この年に導入された交流戦がターニングポイントになった。
セ・リーグ相手に12本塁打を量産し、「おかわり君」の愛称は全国区になった。当時監督だった伊東勤氏はこう語っている。