昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

“全球ホームラン狙い”西武・おかわり君が“改造バット疑惑”を経て辿り着いた「日本一の三振アーチスト」の境地《清原超え1956三振の日本記録》

2022/07/07

 プロ野球・西武ライオンズの中村剛也(38)が7月6日に京セラドーム大阪で行われたオリックス戦で、通算1956三振のプロ野球記録を樹立した。その前日には清原和博の史上最多1955三振に並んでいた。ホームランか三振か――。現代野球では希少種となった「アーチスト」は5月の通算444本塁打の長嶋茂雄超えに続き、新たな勲章を手にした。

清原和博氏も「ショック」

 新記録の瞬間、オリックスの黒木優太のフォークボールにバットが空を切ったものの、中村は大きく体勢を崩すことはなかった。芯に当たればスタンドへの放物線と紙一重の、真骨頂の振り切るスイングだった。

7月5日、通算1955三振のプロ野球記録に並んだ中村剛也 ©産経新聞

 今季の開幕前、清原氏は自身のYouTubeチャンネルで「ホームランをたくさん打っているけど、プロ野球選手で一番三振している。中村に抜かれると、野球少年に言える唯一の自慢がなくなる。それがショック」と語っていた。その言葉は現実のものとなった。

 しかも自身の記録は2338試合、9428打席でのものだが、中村は1913試合、7497打席。試合、打席数ともに二度と破る者が現れないと思わせるほど、圧倒的なスピードで到達した。

現役時代の清原和博氏 ©文藝春秋

三振はホームランのための「必要経費」

 三振はネガティブに捉えられる。しかもこのハイペースだ。しかし、それは選ばれた打者のみがたどり着ける境地でもある。

 これだけ三振しても、ベンチに本塁打を期待され続けてきたことの証しである。本人も「三振はしたくないが、仕方ないかなと思ってやっている」とホームランのための“必要経費”と捉えている。

 若き日の中村は、確実性を欠く打撃がレギュラー定着を遠ざけていた。しかし、プロ4年目の2005年、この年に導入された交流戦がターニングポイントになった。

 セ・リーグ相手に12本塁打を量産し、「おかわり君」の愛称は全国区になった。当時監督だった伊東勤氏はこう語っている。

z