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遭遇した「なんで!?」と思うゴミ

 レジ袋パンパンに納豆のからしが入っていたことがあった。

 きっと納豆を食べるのが習慣で、タレはかけるが、からしはかけない派なのだろう。でも捨てるのはもったいない。じゃ、袋の中に入れて、何かあったときに使おうととっておいたのだが、いっこうに使う機会がないので、捨てたものと思われる。

 袋の底の部分のからしは、いつのころのものよ? そうそうレジ袋いっぱいになることってないよ。毎日毎日、からしを袋に入れてたとしても10年くらい溜めなきゃ溜まらない量よ。っていうかここまで溜めて、なんでこのタイミングで捨てたのよ? よし、捨てようと思ったきっかけ何よ? できればインタビューしたいよ。

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©iStock.com

 あとびびったのが、大量のマネキンの頭。さすがにバラバラ殺人とは思わなかったけど、単純に20個の生首が集積所に捨てられていたら、怖いよ。だって日本人形が捨てられているだけで「呪いとかだいじょうぶだよね?」とかチラリと思ってしまうんだから、これだけの生首となると……。

 これはうちの地域では粗大ゴミにあたるかもしれないから、回収しないで清掃事務所に連絡して対処してもらったけどね。

 人形系は意外と怖いね。

 みんな、あれ、知ってる? 起きあがると目がパチッと開く人形。

 頭ではわかっているのよ。多分、そういう人形なんだろうなと、あとから冷静に考えればわかるけど、回収したときに、視界のはしで人形が目をバチッと開けてみ?

 ぎゃーー、だよ!

(僕が捨てたわけじゃないから、僕を呪わないでね)と心のなかで早口に思う。こんなホラー映画の始まり方ありそうじゃん? 僕がぎゃーっていって、カメラは空を映し、そこにタイトルが出る。

 ゴミ清掃員をやっていて怖いところは、どんなゴミと遭遇するかわからないことなんだよね。10年間、働いていても、いまだによくわからないものがある。

 たとえば、90リットルの袋いっぱいにつめられていた、「えのきバター」である。