文春オンライン

「けん制球が1回きたら、盗塁をしかけよう」2013年WBC台湾戦を勝利に導いた鳥谷敬…ギリギリの状況で見つけた活路

『明日、野球やめます』 #1

2022/07/26
note

 続けて井端さんが期待どおりのバッティングを見せ、センター前にヒット。同点のホームを踏んだ瞬間、まだ試合中だというのに、派手なガッツポーズをしている自分がいた。

4時間37分の激闘の末…

 延長10回に日本が勝ち越し、劇的な勝利。4時間37分の激闘だった。自分は、いつでもどこでも寝られるのが自慢なのだが、この日ばかりは人生で初めて興奮して寝つけなかった。仕方がないので、早朝からひとりでトレーニングをしたことを覚えている。

写真はイメージです ©iStock.com

 その2日後、オランダとの試合では「1番・二塁手」として出場。実は、ここまで四球や犠飛、犠打などはあったものの、一本もヒットを打てていなかった。チームとしてもなかなか点が取れない状況だったので、まずは塁に出ることだけを考えて打席に入った。前の試合の流れがまだ残っていたのだろう。第1打席の結果は、思いがけないホームラン。うまく打線に勢いをつけることができた。これまでの接戦がうそのように打線が爆発。6本のホームランが飛び出し16対4と、7回コールド勝ち。アメリカで行われる決勝トーナメントへの進出が決まった。

ADVERTISEMENT

 サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地で行われたプエルトリコとの準決勝に敗れ、3連覇こそ逃してしまったが、球場の雰囲気は最高……。あらためて、こういう場所でプレーをしてみたいという思いが強くなった。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

「けん制球が1回きたら、盗塁をしかけよう」2013年WBC台湾戦を勝利に導いた鳥谷敬…ギリギリの状況で見つけた活路

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー