今回の映画は、きっと息子が持ってきてくれたと思ってるんです。息子は純真な、美しい目をしている。逆に連れ合いの学生時代の写真を見たときは、「嫌な奴。こんな顔しているあなたには、絶対惚れないわ」って言ったんだけど。上を向いてばかりの男が、息子を育てるなかで変わっていったんでしょうね。「あなたは本当に息子に感謝ね」って、いつも言うの。息子さんの存在があったから、私も彼を好きになったんだと思う。
子供のいない人生かと思っていた
人生って大変な時があっても、あとで絶対良いことがある。人生の秤はちゃんと動くと、私は思っている。私も山あり谷ありだったけど、だからって罰を受けたわけでも、過去が薔薇色だったわけでもない。つまり人生はプラマイゼロ、ね。
加賀さんの人生には、いくつもの痛みがあった。27歳で妊娠。子供の父親とはすでに別れていたため、一人で産み育てることを決意。だが生まれた娘はわずか7時間の命だった。その後、30歳で結婚したテレビマンとは5年で破局した。
今でも、子供が生きていたら幾つだろうか、とは思いますよね。年齢を聞いたときに、「あの子と同い年だわ」とか、「こんなに歳とってるのか」とかね。でもね、感傷は追いかけてもしょうがない。それに子供のいない人生かと思っていたら、60歳にして結婚して、息子と娘ができたんだから。娘は40代になったばかりで、上海にいるんだけど、感覚が違うから新鮮よ。
彼は他人を放っておけない人
本当に、人生はどうなるか幾つになってもわからない。だから周りの悩んでる40代、50代の女性を見ると言いたくなっちゃう。アドバイスしたからってその通りにするとは限らないけど、「そっちの水は辛いよ」っていうのだけは、言っておきたくなる。とくに男については、経験値でわかるから(笑)。
普通の人がいいのよ。普通の穏やかな人。これを探せって、私の好きな女性たちには言っているんだけど。若い頃はちょっとカッコイイところに行っちゃうでしょ。それはわかるの、私もそうだったから。苦い水も一度は飲んでおかないと、見分けられない。私の連れ合いを仲良しの天海祐希さんに紹介したら、「いや~、ほんとうに普通の人!」って言われちゃった(笑)。