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ジョン・ヒューズへのオマージュ

高橋 スイス出身のシンセポップデュオ、イエローの1985年のヒット曲「Oh Yeah」。ジョン・ヒューズ監督の青春映画『フェリスはある朝突然に』(1986年)で有名になった曲ですね。

添野 「Oh Yeah」は、ピーターが人の家の庭を横切るときに『フェリスはある朝突然に』がテレビで流れているという不思議な使われ方をしています。この映画全体がジョン・ヒューズへのオマージュでつくられているからでしょう。居残りさせられるシーンは、『ブレックファスト・クラブ』(1985年)っぽいですよね。1981年生まれのジョン・ワッツ監督は、年齢的にもジョン・ヒューズの映画に思い入れがあるのではないでしょうか。

田舎へ行こう

添野 キャンド・ヒートの「Goin' Up the Country」は、映画『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』(1970年)のオープニング曲ですよね。ピーターたちがバスの中でクイズ大会をやるときにこの曲が流れています。

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高橋 「Goin' Up the Country」は、全米チャートで最高11位にランクインするヒットになっています。1960年代半ばに起こった社会運動「Back-to-the-Land Movement」(大地へ帰れ運動)を反映した楽曲で、まさに『ミート・ザ・ペアレンツ2』(2004年)や『噂のモーガン夫妻』(2009年)など、都会生活者が田舎に行くシーンでよく使われる曲ですね。実は忌野清志郎が歌った『FUJI ROCK FESTIVAL』のテーマ曲「田舎へ行こう!~ Going Up the Country」(1993年)もこの曲のオマージュだったりします。キャンド・ヒートは本来もっとブルース色の強いロックバンドだから、彼らのディスコグラフィのなかでは異色作になるんですけどね。

添野 田舎に出かけるシチュエーションで、誰もが最初に思いつく曲なんでしょうね。イントロのフルートを聞いただけで何の曲だかわかるし、歌詞も「どこかに行くんだ、まだ行ったことがないところに、この街を離れなければ、逃げなければ」という内容なので、ドンピシャです。