そして、長年続いていたエアコンのスイッチ“入れっぱなし派”と“こまめに入り切り派”、どちらが節電になるか論争にも、ひとつの答えが出ているという。
「当社が『冷房つけっぱなしの部屋』と『30分ごとにスイッチを入り切りした部屋』の消費電力を比較したところ、真夏の日中はつけっぱなしのほうが電力を抑えられるという結果が出ました。設定温度まで室温を下げる回数が多いと、電気代がかさむ傾向にあります。
ただ、外出する場合、何時間でもつけっぱなしのほうがいいというわけではありません。当社が検証を行った環境下では、35分以上使用しない場合は、エアコンを止めたほうが節電効果が高いという結果となりました。これを目安にしながら、その日の行動に合わせてスイッチの入り切りを決めましょう」
長時間外出する場合はエアコンを切り、部屋からおおよそ30分以上出ない日はこまめに入り切りするよりもつけっぱなしにするのが最適解。ぜひ参考にしてほしい。
エアコンの運転効率低下を防ぐおすすめアイテム
部屋の熱を外に出す「室外機」も、扱い方を間違えると消費電力が増える要因になるという。
「屋外にある『室外機』の周りに、鉢植えや段ボール箱などを置いている場合はすぐに撤去しましょう。室外機の吹出口がふさがっていると、そこから放出した熱を室外機が再び吸い込んで運転効率が低下してしまうので、室外機の周辺にはできるだけ何も置かないでください。
また、直射日光が当たっていたり、アスファルトの照り返しにさらされていたりする室外機も、放熱する力が弱まっています。ご自身で無理に移動させると故障の原因になるので、室外機から1メートルほど離れたところに葦で作られた『よしず』を立てかけるなどの方法で室外機に日陰を作りましょう」
「よしず」は日除けになるだけでなく、風通しも良いので、適した場所に置けば吹出口を塞ぐ心配もないという。このよしずのように、エアコンの運転効率の低下を防ぐアイテムはほかにも。
「窓の外やバルコニーに『すだれ』を吊るすのも暑さ対策になります。カーテンやブラインドを閉めても太陽熱は遮断されますが、カーテンの色が暗いと熱を吸収してしまい、却って室内が暑くなるケースも。その点『すだれ』ならば、ある程度光を取り入れつつ、窓からの熱を遮れるというメリットがあります」
昔から日本に馴染みがある工芸品を活用した、風流な酷暑対策だ。
3つの裏ワザを組み合わせると…
「フィルターの掃除と、室外機の周りにものを置かない、すだれの活用……この3つを組み合わせた場合の消費電力を計測したところ、21.8%の節電効果が得られました。お部屋の環境にもよりますが、多くの家庭で20%前後の節電につながる可能性もあります。さまざまな方法を試して、自分にとってベストな節電術を見つけてみてください」
複数の方法を駆使すれば、この夏も節電しながら快適に過ごせるかもしれない。