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設定温度を下げるのは「最終手段」…猛暑を乗りきるエアコン節電術、意外と知らない“3つの裏ワザ”

2022/08/05
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設定温度を下げるのは「最終手段」

 そして、エアコンを操作するリモコンも重要な節電ツールだ。まず、温度設定は「低すぎない温度」に定めるのが鉄則。

「設定温度を低くしすぎると、室温がその温度に達するまでに、多くの電力がかかってしまいます。環境省が推奨する“室温28℃”を目安にしつつ、温度計も見ながら自分が過ごしやすい設定温度を探ってみてください。そして風向は『上向き』や『水平』に設定して“温度ムラ”を解消しましょう」

 温度ムラとは、天井と足元の室温に差が出ている状況を指す。冷たい空気は暖かい空気に比べて重く、暖かい空気を天井に押し上げる性質があり、ひとつの部屋の中で温度にムラができてしまうのだ。

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「風向を下向きにしていると温度ムラが発生しやすく、エアコン本体に搭載された温度センサーが天井近くの熱気に反応して『まだ部屋が設定温度に達していない』と判断します。そうするとエアコンは冷気を送り続けるため、無駄に電力を消費することにつながります」(由井さん)画像提供:ダイキン工業株式会社

「風向を上向き・水平にすると、冷たい風が天井から比較的ゆっくり降りてくるので、お部屋全体の温度のムラが少なくなります。また、エアコンに加えて扇風機やサーキュレーターを併用するもおすすめです。エアコンの対角線上に扇風機を置いて天井の真ん中あたりに向けると、室内の空気がより撹拌されて温度ムラを抑制してくれます」

 部屋の環境によって条件は変わるが、設定温度を過度に下げるよりも、扇風機やサーキュレーターを併用するほうが節電効果が高いという。気になる風量設定は、どの設定がもっとも効率的なのだろうか。

「風量設定は『自動』が最適。初めは強めの風で一気に室温を下げ、その後弱風に切り替わって電力の消費を抑えてくれます。『常に弱風・微風に設定しておくと節電になる』と思っている方もおられますが、弱風では設定温度に達するまで時間がかかるので、自動設定よりも電気代がかかってしまいます。

 帰宅直後、すぐにでも涼を取りたいときは、風向を自分に向けるか、風量を強くするのも節電術のひとつ。まず、風を浴びて“体感温度”を下げると、設定温度を下げずに涼しさを感じられます」