「いじめやハラスメントは大きな問題ではなく...」
これに対し、デンマークの王室専門家は、デンマークの公共放送DRの取材に対し、「王室に生まれた者は特権を有すると同時に、特別な責任と義務を果たさなければならない」とコメント。一方で、以前からも同校のレイプ事件について国内外のメディアで報じられていたことから「そもそもクリスチャン王子は同校に入学すべきではなかったのでは」という見解を示した。
大衆紙Ekstra Bladetによると、同校のいじめ問題が明らかになった後、学校は環境の改善に乗り出しているようだ。例えば、ルームシェア制度は廃止され、1人に1部屋ずつあてがう方針が決定。生徒たちの心の健康を担保するため、スタッフが増員されることも決まった。批判の矢面に立たされた校長は解雇され、その後、学校幹部も辞任している。
校内の環境を変える取り組みが進められること自体は歓迎されることかもしれない。しかし伝統校ゆえか、学校の反応のあまりの鈍さは新たな批判を呼んでいる。
幹部陣が刷新され、新しい体制で学校運営が行われることになったが、メディアの取材に対して「いじめやハラスメント問題は大きな問題ではなく、ほとんどの生徒は満足のいく学校生活を送っている」と学校側が話す一幕もあったのだ。
いじめ問題の専門家は、デンマーク公共放送局の取材に対し、「報告されたいじめや性暴力被害の件数を見たり、それぞれを個別のケースとして捉えるだけでなく、長年暴力の温床となってきた同校の文化や習慣を変える必要がある」と指摘。
政府の教育機関も、同校で暴力などの違法行為が行われてきたと認定。2021年12月以降に同校に支払われた助成金の返還と、上級生に特権を与えるような慣習を廃止するよう求めた。
ハールスホルム高校での醜聞に関して、イートン校をはじめとしたエリート寄宿学校を持つイギリスのメディアも注目。「デイリーメール」紙も、いじめに関わった同校の生徒4人が退学させられたと続報を打っている。
社会のリーダーを多く輩出してきた伝統校の隠された闇。それは、デンマーク全土に波紋を広げている。