文春オンライン

2022/08/22

やんばる出身ではない人物が「ことば指導」を担当

 暢子を演じる黒島結菜は沖縄本島最南端の糸満市出身、その母を演じる仲間由紀恵も南部の浦添市(両親は宮古島市)出身。同じ沖縄でも、やんばると南部では随分話し方が違う。

 ちょっと専門的な話をすれば、沖縄の言葉は、奄美、国頭(やんばる)、本島中・南部(那覇市、沖縄市や浦添市、糸満市など)、宮古、八重山、与那国の6つに分類される。同じ沖縄でも、やんばると那覇の言葉には、アクセントのみならず、単語そのものにも違いがある。分かりやすいところでいうと、やんばるではハ行がパ行になる。山羊は「ヒージャー」だが、やんばるなら「ピージャー」だ。

 番組ではなぜ「やんばるならではの言葉」が反映されていないのか。「ことば指導」を担当しているのは藤木勇人氏。暢子が下宿する沖縄料理店の主人役としてドラマにも登場している。朝ドラ「ちゅらさん」でもことば指導を務めた人だ。ただし、彼の出身は中部のコザ(沖縄市)。やんばるではない。

「ことば指導」をしつつ出演もしている藤木氏

 取材を申し込んでみたが、お忙しいようで回答は頂けなかった。

 だが、やんばるからの不満の声は藤木氏の耳にも届いているようで、沖縄タイムス(5月3日)には、こんな一文を寄稿している。

「早い話がヤンバルのしゃべり方ではないということなのだ。(略)全国放送なので、全国の人に伝わるであろう、沖縄がイメージできる台詞まわしが必要になる」「どうか沖縄の皆さまには(略)多々納得のいかないところがあった際にはご理解をいただき」たい。

 あきさみよー!(何てこった!)と言いたいところだが、実はこれも、状況次第では「何だとー!」と相手にケンカを売っているように聞こえる言葉。暢子のように多用するのはお勧めできないのである。

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