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「昔は若手がベテランに気を使い、ベンチで座る場所にも悩むほど選手間に距離があった。試合でも、投手は同僚ではない捕手が受ける時は、公式戦に戻れば敵打者となるため、あえて自分の決め球を見せないようにするほど警戒もした。(2000年のシドニー五輪をはじめ、WBCなどで)プロでも日本代表チームが編成されるようになり、同志意識が芽生え始めてから時代は変わった」(同前)

ドラフト会議の時の佐々木 ©文藝春秋

佐々木は今後どう立て直していくのか

 今夏の球宴、パ・リーグのメンバーで佐々木は松川の次に若かった。前出の元捕手が続ける。

「他の年長選手に気を使うことも多かったはず。投球のことで他の投手に質問されれば答えないといけない場面もあったかもしれない。たとえ話した相手が投手だったとしても、いずれはその投手の同僚打者に伝わる。佐々木が球宴期間中に、敵を利するようなことを一切、言わないようにできていたかどうか」

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大船渡高校時代の佐々木 ©文藝春秋

 球宴を境に、不調に陥ったように映る佐々木は今後、どう立て直していくのか。指導経験も豊富な元捕手は「序盤に快投が続いたことで、他球団は必死に攻略の糸口を探ろうとしたはず。研究の対象はリードする松川にも及んだだろう。例えば、ミットを構えた時の重心の位置が前か後ろかで、佐々木の球種を判別することなどは序の口。プロとはそういう次元。誰もがシーズンを通して絶好調とはいかないわけだから、佐々木は松川とともに試行錯誤しながら乗り越えていくしかない」とみている。