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長女と次女で異なる判断となった理由

 Aさんは自らを父親とする認知届を提出。ところが、自治体側には受理されなかった。そこで、娘二人が原告となる形で提訴に至ったという。

「高裁判決は、長女が生まれた時には戸籍上男性だったことから、その時点で長女にはAさんに父親として認知を求める権利が生じており、後に性別が女性に変わったからといってその権利を剥奪するのは理にかなわないとして、長女との親子関係を認めた。ただ、次女が生まれた時にはすでに女性だったため、元々権利がないとしました」(同前)

高裁判決後、記者会見するAさん(手前右) ©共同通信社

 生物学的には同じ父親と母親にもかかわらず、法律的には長女と次女で異なる判断。司法関係者は「実は、特例法の制度上、こうした問題は起こり得なかったはずなのです」と明かす。

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「特例法は今回のように法的な親子関係がこじれないように、未成年の子どもがいる場合は性別の変更を認めていないのです。ところが、Aさんは性別変更審判の際、長女の存在を明らかにしていなかった。そのため、性別変更が認められ、今回の事態に繋がりました。性別変更を強く望むAさんにとっては、他に選択肢が無かったのでしょう。家族の在り方が多様化していることの裏返しとも言えます」(同前)

 二人は次女についてだけ親子関係が認められないのは納得がいかないとし、上告する方針。最高裁の司法判断が注目される。