男に生まれて女になり、そして父になったが……。
男性から性転換をしたトランスジェンダーの40代女性Aさんと、その凍結した精子を用いてパートナーの30代女性Bさんとの間に生まれた二人の娘を巡り、法的な親子関係が認められるかが争われた裁判。東京高裁は8月19日、いずれも認めていなかった東京家裁の判決を一部覆し、性別変更前に生まれた長女についてAさんを父親と認めた。一方で、性別変更後に生まれた次女については認めなかった。
司法担当記者が解説する。
「一審の東京家裁判決では全面的に否定されていたため、二人とも判決に期待していなかったようで、高裁判決後の会見では素直に驚きを示していました」
一体、なぜこのような判決が導き出されたのか。
Aさんは元々男性として生まれ、Bさんと内縁の関係となった。ただ、まだ戸籍上は男性だったその頃から女性の心を持っていたという。
「そうした背景もあり、AさんはBさんとセックスはせず、凍結保存した自分の精子を用いて18年に長女が誕生します。その後、生殖腺の摘出などを条件とする性同一性障害特例法に基づき、性別を女性へと変更。20年には同じく保存していた精子で次女が生まれました」(同前)