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3DKの団地で、家族5人暮らし
――ほしいものの中に、マイホームというのはなかったんですね。
多良 全然ありませんでした。結婚当初に住んでいた主人の実家は、だだっ広い一軒家だったのですが、大きな家というのは無駄が多いのです。掃除も大変で。それに私は狭いところが好きなんですよ。
この団地で、最初は家族5人で暮らしていたから手狭でした。でも、子どもたちが巣立って、主人と私の2人になったら、襖を全部取り払って2つの部屋をワンルームにしました。子どもたちのベッドや机もどんどん捨てて。
――子どもたちの意見は二の次?
多良 いえいえ、そんなの聞きませんよ。私のいらないものはいらないんです。
――もういなくなっちゃったんだから、と(笑)。
多良 そうそう。そうやって大きな家具をなくして、部屋を風通し良くすっきりさせたら、空気感ががらりと変わりました。どこにいても主人の顔が見えるようになって。掃除もしやすいし。狭い部屋も暮らし方次第だな、と。
亡き夫の思い出のソファを捨てたわけ
――世の中って、無い物ねだりじゃないですけど、誰かと比べてしまうじゃないですか。そうじゃないと。
多良 自分の型を作るのが大切ですよね。身の丈に合ったもの。それ以上のことを、私は望みません。
一人になったら一人になったで楽しめばいい。趣味に時間を使うのも、お酒をたしなむのも自由。みんな私のものという感じです(笑)。そう考えると、自分の動きやすいようにしたほうがいいんじゃないかと思って、主人が亡くなったときはソファーを捨てましたし、彼の洋服を処分したら、洋服ダンスと和ダンスも必要なくなったので捨てました。