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――思い出はあるけれど、もうこの世にいないのであれば潔く、ですか?

多良 主人しか使わなかったソファーだから。洋服も、思い出のものは数枚残して。その後、ひとりの生活に向けて、茶碗やお皿も減らしました。とにかく掃除がしやすいように、物を床に置かない生活をしたいと思って、1日1品捨てる運動もしました。片づけをしようと思うのではなく、1日1品捨てると決めて、毎日、何かしら処分をしていましたね。

 ゆとりができると、今度は自分の好きなものだけを揃えたいと思って、吟味して好きなものだけを買うようになりました。食卓にいつも置いている、ランチョンマット代わりの木製プレートについて、YouTubeの視聴者の方から「どこで買ったんですか?」というコメントを多くいただきます。自分のお気に入りをみなさんに気づいていただけて、とても嬉しく感じています。

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©文藝春秋

できないものは、さっさと割り切ってしまう

――サステイナブルです(笑)。自分の哲学と趣味が循環していて、カッコいい。

多良 年齢が年齢ですから、やっぱりできることとできないことがあります。

 タップダンスをやりたいという夢があったのですけど。近くにタップダンスの教室はないし、通うには歳を重ねすぎている。もう現実的に無理だからあきらめました。できないものはできないと、さっさと割り切ってしまうのです。好きな気持ちは変わらないから、YouTubeではタップダンスの動画を見ていますけどね。

©文藝春秋

――潔すぎる……。

多良 自分のできる範囲で、手ごたえを感じられればいいんです。

 私は絵が上手ではないのですが、絵手紙教室が気になり、「私みたいに何も描けない人でも入っていいんでしょうか?」と問い合わせたら、「どうぞ、見学に来てください」って。それで見学に行ったら、先生も良い方で、とてもいい雰囲気だった。数十年前の話で、その先生ももう教室をやめてしまったのですが、絵手紙は趣味でずっと続けています。

 実は最近、その先生がYouTubeで私のチャンネルを見てお手紙をくださって。うれしかったですねえ。

――たまたまその先生が、『Earthおばあちゃんねる』を見たんですか?