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子ども世帯は子ども世帯、私は私

――物理的な距離を含めて、距離感って大事なんですね。

多良 それは本当にそう思います。いくら息子が私と住みたいと言ってくれても、お嫁さんの気持ちはまた別じゃないですか。お互いに気をつかい合いますよ。子ども世帯は子ども世帯、私は私で離れて暮らすのがいい。一人でのんびり暮らすのが一番です。

 私は、子どもが結婚すると言ったとき、この子はお嫁さんに差し上げるという気持ちで、心の中で子どもとは一線を引きました。だから、口出しは一切しません。何かあったとき報告を受けたら、「ああ、よかったね」「ああ、そう」と言うくらい。向こうから助けを求めてくれば、喜んで出かけていって助けますけど、こちらから口を挟むようなことはしません。それくらいが丁度いいんです。いざというときは助け合おうと言っていますが、それと干渉は別物ですから。

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――そのバランス感覚、見習いたいです。

多良 私ね、実は交際下手なんです。ちっちゃいときから人見知りで。友だちも、グループに入れてもらって、その中でしか付き合いがないくらいだったの。人の話を聞くのは大好きなのだけど、自分から話題を提供するなんて、全然できません。電話をかけるのも勇気が必要でね……。だから、ひとりでいるのが好きだしラクなんです。

 でも、結婚して子育てする中で、そうも言っていられなくなって。ママ友とのお付き合い、PTAの役などもやらないといけない。そうして少しずつ、少しずつ、人との関わりをこなせるようになりました。

 それでも、ここの団地に55年も住んでいるのに、友だちは何人もいません。自分からは声を掛けられない……。だから、趣味の絵手紙など同好のメンバーがいる場所を見つけるようにしています。でも、家に行ったり来たりはしませんね。その場でなごやかにおしゃべりをするだけ。